「希少がん」に一まとめにされていた...「忘れ去られたがん」と呼ばれていた...
肉腫(サルコーマ)とはそのように扱われてきましたが,実は身体のどこにでもできる悪性腫瘍です.
これらの表現は肉腫がめずらしい病気であることが理由ですが,はたしてそれだけでしょうか?
厚生労働省の「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」の報告書(2015年8月)で,わが国の希少がんを「概ね年間の罹患率(発生率)が人口10万人当たり6例未満」のがん種と定めています.肉腫も統計上はこの条件に当てはまる疾患です.しかし身体のあらゆる部位に発生し,多くの診療科が携わっている肉腫全体の発生数はまだまだ正確に把握されていないのではないか,これが臨床現場の印象です.また肉腫の病理診断(顕微鏡的診断)は専門家が少なく,見逃されているケースもあります.
報告書にはもう一つ,「数が少ないため診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きい」という定義があります.身体各部位や各臓器では希少だが,それらを統括して診療する部門,つまり「横のつながり」がないために課題が大きかった.これこそ肉腫を希少がんに追いやっていた主な理由ではないかと考えられます.
肉腫に限らずがんの治療の主役は外科的切除でありました.そのため歴史的には身体の各部位の診療科が携わってきたことは無理もないことです.しかし近年,各種薬物治療や放射線治療の進歩により治療の選択肢も増えてきました.肉腫治療においても,2016年から粒子線治療(陽子線・重粒子線)が公的保険適応となり,遺伝子パネル診療の発展などにより,種々の肉腫の特徴が明らかになってきました.
このような経緯から,肉腫診療における「横のつながり」を担う部門が必要となってきました.当神奈川県立がんセンターでは,肉腫で悩む人を一人でも減らしていくために, 2023年4月からサルコーマセンターを開設します.肉腫患者さんの窓口となり,必要に応じて当施設の複数診療部門と相談しながら治療にあたります.
特に重粒子線治療やゲノム診療科が併設されている肉腫専門医療機関は全国的にも少なく,これらの特長を生かして県内外の患者さんからのニーズにも応えていきたいと考えております.
電話番号 | 045-520-2210(患者さんからの受診申込専用回線) 045-520-2204(医療機関からの受診申込専用回線) |
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予約受付時間 | 平日8:30~17:00 |
*ご不明な点は、上記電話番号へお問い合わせください。
たけやま まさのぶ
竹山 昌伸
部長
卒業年次:平成8年卒 / 平成14年修
卒業大学:横浜市立大学 / 横浜市立大学大学院
【専門医/認定医】
・整形外科専門医 ・日本臨床倫理学会 上級臨床倫理認定士
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