ゲノムとは、生物に必要な全ての遺伝子のセットのことをいい、遺伝子は細胞の設計図としての機能があります。からだの中の全ての細胞はこの設計図を基にそれぞれの役割を果たしています。がんは遺伝子の一部に異常をおこした細胞が無秩序にふえることによって起こる病気です。患者さんのがんの遺伝子(またはその一部)を調べることで、一人ひとりのがんの特徴がわかり、より適した治療を選べる可能性があります。
がん遺伝子パネル検査とは、100種類以上のがんに関わる遺伝子について、がん組織内の、若しくは末梢血中に漏れ出したがん由来の遺伝子の異常を一度に調べ、その遺伝子異常に対応した治療薬(主に分子標的薬)を探すための検査です。
「がん遺伝子パネル検査」では、対象となる条件に適合した患者さんに対して、1回の検査でがんに関連する100個以上の遺伝子の変異を調べ、治療効果が期待できる治療薬や臨床試験の情報を得ることができます。ただし、今までの研究データでは、本検査の結果に基づいた新たな治療を受けた患者さんは10-15%程度と考えられます。有効な情報が得られない可能性も十分にあることをご理解ください。また、検査を受けた方の3~5%程度で遺伝性腫瘍(生まれつきがんに罹りやすい体質)に関わる遺伝子変異が見つかることがあります。その場合、血縁者(親、子、兄弟など)も同じ変異を持つ可能性があります。
【保険適用検査】
(がん組織を使用する検査)
がんに関連した124遺伝子(DNAのみ)について、がん組織と血液の両方で調べます。
血液検査で遺伝性腫瘍に関連した遺伝子の異常が分かることがあります。
がんに関連した324遺伝子(DNAのみ)について調べます。がん組織の検査のみで血液検査は必要ありません。
がんに関連した737遺伝子(DNA:737遺伝子、RNA:455遺伝子)について調べます。がん組織と血液の両方で調べます。血液検査で遺伝性腫瘍に関連した遺伝子の異常が分かることがあります。
(血液のみを使用する検査)
がんに関連した324遺伝子(DNAのみ)について調べます。がん組織の採取が困難な場合にのみ、末梢血を使用して実施します。
がんに関連した74遺伝子(DNAのみ)について調べます。がん組織の採取が困難な場合にのみ、末梢血を使用して実施します。
●対象となる方
※保険適用外(自費検査)のがん遺伝子パネル検査をご希望の方はこちらをご覧ください。
当センターで対応している遺伝子パネル検査(一覧)
検査名 |
保険 |
OncoGuide™ NCCオンコパネル |
. . 保険適用 |
FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイル |
|
GenMineTOPがんゲノムプロファイリングシステム |
|
FoundationOne® Liquid CDxがんゲノムプロファイル |
|
Guardant360CDxがん遺伝子パネル |
|
TruSightTM Oncology 500(TSO500) |
保険適用外 (自費検査) |
Guardant360_83遺伝子 |
KCCHがんゲノム診療センター組織図
1.当院で受診しておられる患者さんは担当医師にご相談ください。
2.他院から検査を希望される患者さんは、現在受診している医療機関へFAXにてお手続きして頂くようご依頼ください。
検査の説明
患者さんからの生検・採血(必要な場合)
お支払い
検査の開始に必要な費用(13万2千円(3割負担の場合))をお支払いいただきます。
検査の実施
※ この間約1ヶ月半から2ヶ月のお時間をいただきます。
結果の説明
お支払い
検査の実施と説明に関わる費用(3万6千円(3割負担の場合))をお支払いいただきます。
医療保険適用の場合、検査費用については保険点数56,000点分(3割負担で168,000円)をお支払い頂くことになります。「高額療養費制度」が使えますので、収入に応じて決められた自己負担分以外は払い戻しを受けることができます。検査発注時に保険点数44,000点分(3割負担で132,000円)をお支払い頂き、検査結果説明後に保険点数12,000点分(3割負担で36,000円)をお支払い頂きます。
※上記費用は検査のみの費用です。ほかに診察料(初診、再診)がかかります。
※検査結果で有効な治療情報が得られなかった場合でも、上記検査費用はお支払い頂きます。
※遺伝性腫瘍が見つかった際の遺伝カウンセリング費用は別途必要です。
当院では、2019年8月から遺伝子パネル検査を実施しております。
2019年9月にはがんゲノム拠点病院に指定され、12月から自施設内でエキスパートパネルを開催し、検査結果レポートを作成しています。
下図は、2019年8月〜2023年3月末までに当院で実施された検査数と内訳を示しています。
また治療到達率に関しては、2019年8月〜2022年3月末までの検査結果について示しています。
遺伝子パネル検査累積検討症例数
検査内訳
検討症例の内訳では、FoundationOne CDx(F1)が86%、2021年に保険収載されたFoundationOne Liquid(F1L)が10%でした。使用検体は院外からの取り寄せがほぼ半数、手術検体が6割弱でした。診療科別では、他院からの紹介症例を担当するがんゲノム診療科が35%でした。がん腫別では、膵癌・胆管癌、婦人科癌、大腸癌で6割を占めています。最近では、前立腺癌の症例が増加しています
検査結果
治療到達率は11.9%と全国平均よりも高い結果となりました。これは有用な検査結果を最大限治療へと繋げるため、検査実施のタイミングの至適化(患者さんの全身状態が良好な状態で検査結果を届ける)、国立がん研究センター中央病院と連携して、治験の情報共有の効率化を図った結果と考えられます。また、年々承認薬に到達する割合が増加しています。これは、遺伝子変異に基づいた分子標的薬の治療が新たに承認されたためです。有効な治療に結びつく可能性があると考えられるDruggable変異の同定率は27.4%であり、今後これらの変異を標的とした治療薬の開発、承認が期待されます。
神奈川県立がんセンター・がんゲノム診療科は、医療機関からのFAX申込みによる紹介予約制となります。
大変申し訳ありませんが、患者さんからの予約申込は受け付けておりません。
現在の主治医に、がんゲノムプロファイリング検査(がん遺伝子パネル検査)を受けたい旨をご相談下さい。
1.あなたががん遺伝子パネル検査の対象となるか、まず、現在の主治医が判断します。
現在の主治医の先生が検査可能と判断されても、神奈川県立がんセンターの担当医の判断や提出頂いた病理検体の状態により検査を受けて頂けない場合があります。詳しくは、下記をダウンロードしてよくお読み下さい。
検査をご希望の患者さんへ ※必ずお読み下さい(PDF)2.あなたが検査の対象と判断された場合は、現在おかかりの医療機関から神奈川県立がんセンター・がんゲノム診療科の受診予約申し込みをFAXにて手続きします。
受診予約日が決定しましたら当院よりおかかりの医療機関にすみやかにご連絡いたします。
3.現在の主治医(医療機関)から患者さんへ受診予約日をお知らせします。
4.がんゲノム診療科 初診外来受診
現在の主治医(医療機関)から下記を受け取り、がんゲノム診療科初診時にご持参下さい。
検査を受けて頂けるかの最終判断は、がんゲノム診療科の担当医が判断致します。
・保険証
・診療情報提供書(紹介状)
・その他:医療機関が準備された書類及び病理検体等
神奈川県立がんセンターがんゲノム診療科は、医療機関からのFAX申込みによる紹介予約制となります。
紹介元医療機関様より、下記に従ってご紹介をお願いします。
1.FAX申込み(FAX番号:045-520-2215 がん相談支援センター内 がんゲノム診療相談センター)
下記をダウンロードしてよくお読みいただき、「神奈川県立がんセンター 遺伝子パネル検査予約申込書」に必要事項をご記入の上、FAXして下さい。
2.予約日のご案内
FAX受信後、2営業日以内にFAXにて受診予約日のご案内をいたします。 その際、「がんゲノムプロファイリング検査病理組織検体情報提供書」「がんゲノムプロファイリング検査化学療法情報提供書」を同時にFAX送信いたします(下記からの印刷も可能です)。
3.がんゲノム診療科 初診外来受診
下記をご準備いただき、がんゲノム診療科初診時に患者さんにご持参いただくようお渡し下さい。
・診療情報提供書、病理診断書のコピー、採血データ
・がんゲノムプロファイリング検査 病理組織検体情報提供書のコピー(原本は貴院で保管して下さい)
・がんゲノムプロファイリング検査 化学療法情報提供書のコピー(原本は貴院で保管して下さい)
・病理組織検体(病理組織検体情報提供書に沿ってご準備下さい)
4.遺伝子パネル検査後、診療情報の提供
保険で実施した遺伝子パネル検査では、検査後の治療情報、転帰についてがんゲノム情報管理センター(C-CAT)への登録が義務付けられています。
結果返却後(3~6カ月後)に当院よりご連絡致しますので、下記書類の提出をお願い致します。
がん遺伝子パネル検査とは、数百種類のがんに関わる遺伝子について、がん組織内の遺伝子の異常を一度に調べ、その遺伝子異常に対応した治療薬(主に分子標的薬)を探すための検査です。保険適用となるがん遺伝子パネル検査では、対象となる患者さんが限られています(保険適用検査の対象となる方をご参照ください)が、当院では保険適用外(自費)のがん遺伝子パネル検査(TSO500 または Guardant360_83遺伝子)も受けることができます。
保険適用とならない再発前の患者さんや標準治療施行前の患者さんでも、腫瘍の組織があれば検査を受けて頂けます。また、すでにがん遺伝子パネル検査を実施されていても、治療後の転移部位などから採取したがん組織を検査に用いることで、新たに別の遺伝子異常が同定される可能性があります。
この検査で検出した遺伝子異常の結果を基に保険適用薬を使用したり、患者申出療養制度を利用した臨床試験(通称:受け皿試験/BELIEVE trial、NCCH1901)にエントリーすることはできませんが、今後の治療方針の決定に有用な情報となったり、治験にエントリーするための適格性について事前に把握することで、治験へのアクセスが円滑になる効果が期待できます。
ただし、検査を受けたとしても有効な情報が得られない可能性も十分にあることをご理解ください。また、保険適用外での検査なので、本検査結果を基に保険適用薬を使用したり、受け皿試験へのエントリーはできませんので、ご注意ください。(上記の治療をご検討頂く際には、保険適用のがん遺伝子パネル検査を再度受けて頂く必要があります。)
検査名 | TruSightTM Oncology 500 |
検体 | がん組織 |
分析遺伝子数 | DNA523遺伝子、RNA55遺伝子 |
検査の特徴
・保険適用外がん遺伝子パネル検査「TSO500」では、患者さんのがん組織をもちいて、1回の検査でがんに関連する500個以上の遺伝子の変異を調べ、治療効果が期待できる治療薬や臨床試験の情報を得ることができます。ただし、検査結果の返却までに約2ヶ月かかりますので、薬物治療前や再発前など時間的余裕のある状態で受検されることをおすすめします。また、本検査の結果、保険承認薬の使用が推奨された場合、該当薬剤の使用前に再度保険適用の遺伝子パネル検査を受ける必要があります(※本検査はあくまでスクリーニング検査であり、コンパニオン診断としては使用できません)。
・また、検査を受けた方の3~5%程度で遺伝性腫瘍(生まれつきがんに罹りやすい体質)に関わる遺伝子変異が見つかることがあります。その場合、血縁者(親、子、兄弟など)も同じ変異を持つ可能性があります。
対象となる方
下記の条件を満たす方であれば、どなたでも検査を受けられます。
・がんの組織検体を提供できる
・主治医(かかりつけ医)が当院への情報提供に協力できる。
検査の特徴
・保険適用外がん遺伝子パネル検査「Guardant360_83遺伝子」では、患者さんの血液をもちいて、1回の検査でがんに関連する83個の遺伝子の変異を調べ、治療効果が期待できる治療薬や臨床試験の情報を得ることができます。組織を使用した検査と比較し対象となる遺伝子数は少ないですが、検査結果を約10日で返却できますので、がん治療前のスクリーニングや治療途中での耐性変異の検出に有用と考えられます。しかし、本検査の結果、保険承認薬の使用が推奨された場合、該当薬剤の使用前に再度保険適用の遺伝子パネル検査を受ける必要があります(※本検査はあくまでスクリーニング検査であり、コンパニオン診断としては使用できません)。
・また、検査を受けた方の3~5%程度で遺伝性腫瘍(生まれつきがんに罹りやすい体質)に関わる遺伝子変異が見つかることがあります。その場合、血縁者(親、子、兄弟など)も同じ変異を持つ可能性があります。
対象となる方
下記の条件を満たす方であれば、どなたでも検査を受けられます。
・がんの診断を受け、担癌状態の方(体内にがん細胞が存在している状態の方)
・主治医(かかりつけ医)が当院への情報提供に協力できる。
保険適用外となるため、検査費用として以下の金額の全額をご負担いただきます。
TSO500 | 380,000円(税込み) |
Guardant360_83遺伝子 |
(1回目) 490,000円(税込み) |
(2回目以降) 370,000円(税込み) |
費用には医師による説明、検査実施、結果説明が含まれます。
神奈川県立がんセンター・がんゲノム診療科は、医療機関からのFAX申込みによる紹介予約制となります。
大変申し訳ありませんが、患者さんからの予約申込は受け付けておりません。
検査を受けるまでの流れ
現在の主治医に、保険適用外がん遺伝子パネル検査を受けたい旨をご相談下さい。
1.あなたががん遺伝子パネル検査の対象となるか、まず、現在の主治医が判断します。
現在の主治医の先生が検査可能と判断されても、神奈川県立がんセンターの担当医の判断や提出頂いた病理検体の状態により検査を受けて頂けない場合があります。
2.あなたが検査の対象と判断された場合は、現在おかかりの医療機関から神奈川県立がんセンター・がんゲノム診療科の受診予約申し込みをFAXにて手続きします。
受診予約日が決定しましたら当院よりおかかりの医療機関にすみやかにご連絡いたします。
3.現在の主治医(医療機関)から患者さんへ受診予約日をお知らせします。
4.がんゲノム診療科 初診外来受診
現在の主治医(医療機関)から下記を受け取り、がんゲノム診療科初診時にご持参下さい。
検査を受けて頂けるかの最終判断は、がんゲノム診療科の担当医が判断致します。
・診療情報提供書(紹介状)
・その他:医療機関が準備された書類及び病理検体等
受診に関するご不明点等については、がんゲノム診療相談センター(がん相談支援センター)までお電話でお問い合わせ下さい。
神奈川県立がんセンターがんゲノム診療科は、全て医療機関からのFAX申込みによる紹介予約制となります。
1. FAX申込み (FAX番号:045-520-2215 患者支援センター内 がんゲノム診療相談センター)
下記をダウンロードしてよくお読みいただき、「神奈川県立がんセンター がん遺伝子パネル検査(自費)予約申込書」に必要事項をご記入の上、FAXして下さい。
▽ 遺伝子パネル検査予約申込書(自費診療) PDF版 Excel版
2. 予約日のご案内
FAX受信後、2営業日以内にFAXにて受診予約日のご案内をいたします。
予約日のご案内と共に、「がんゲノムプロファイリング検査病理組織検体情報提供書」「がんゲノムプロファイリング検査化学療法情報提供書」をFAX送信いたします(下記からの印刷も可能です)。
▽ がんゲノムプロファンリング検査病理組織検体情報提供書 PDF版 Word版
▽ がんゲノムプロファンリング検査化学療法情報提供書 PDF版 Excel版
Guardant360_83遺伝子を希望する場合には、上記のうち病理組織検体提供書は不要となります。
3. がんゲノム診療科 初診外来受診
下記をご準備いただき、がんゲノム診療科初診時に患者さんにご持参いただくようお渡しください。
診療情報提供書
採血データ
≪TSO500の場合は以下もご準備ください≫
がんゲノムプロファイリング検査 化学療法情報提供書のコピー(原本は貴院で保管して下さい)
がんゲノムプロファイリング検査 病理組織検体情報提供書のコピー(原本は貴院で保管して下さい)
病理組織検体(病理組織検体情報提供書に沿ってご準備下さい)
病理診断書のコピー
Q. がん遺伝子パネル検査を受けたいのですが、どのような手続きが必要ですか?
まずかかりつけ医(主治医)に当院でのがん遺伝子パネル検査の希望をお伝えください。申し込みは現在おかかりの医療機関(主治医)からとなります。当院がんゲノム診療相談センターにご連絡頂き、受診方法などにつきご相談ください。
Q. 検査を受けた方が良いかどうか分からないのですが、検査について詳しく聞いたり、
相談するだけでも受診できますか?
がんゲノム診療科でセカンドオピニオン外来を受け付けておりますので、そちらをご利用ください。
Q. 家族のみでも受診できますか?
患者さんご本人に受診して頂く必要があります。
(セカンドオピニオンの際は、ご家族のみの受診も可能です。ただし、ご本人の同意(文書)は必要となります。)
Q. 何を使って検査するのですか?
過去に行った手術や検査(生検)で採取したがん組織を使用します。検体の状態(3~5年以上前など)によっては、検査が施行できない可能性があります。その際には、新たにがんの組織を採取する(生検など)必要があります。また、検査の種類によっては、採血も必要になります。
Q. 検査結果が分かるまでには、どれくらいの時間がかかりますか?
検査発注から結果説明まで、約1ヶ月半から2ヶ月程度かかります。
Q. 検査結果で有効な治療法が見つかった場合には、どこで治療を受けられるのですか?
当院で実施している治験がある場合には、適格基準を満たせば当院で治療が受けられます。他施設での治験がある場合は、該当する医療機関をご案内致します。また、適応外使用(他のがん種で保険適応になっているが、患者さんのがん種では保険適応になっていない薬の使用)の場合は、基本的には自費診療となりますので、自費診療対応可能な医療機関で治療を受けて頂くことになります。(当院では自費診療を行っておりません。)
Q. 前立腺がんのBRCA検査を受けたいのですが、どこで受けられますか?
検査のみをご希望の患者さんは、がんゲノム診療科で受付けています。詳しくは、がんゲノム診療科HPをご参照ください。
受診に関するご不明点等については、がんゲノム診療相談センター(がん相談支援センター)までお電話でお問い合わせ下さい。
電話番号 | 045-520-2211 |
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受付時間 | 平日 9:00~16:00 |
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