診療科・各部門のご案内
泌尿器科

診療のご案内

 泌尿器科は尿路(腎臓~尿道)、生殖器(精巣、前立腺など)における悪性腫瘍の診療を担当しています。副腎腫瘍、腎腫瘍(腎癌、腎盂腫瘍、腎肉腫)、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、尿膜管腫瘍、尿道腫瘍、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、後腹膜腫瘍など多岐にわたる疾患の診断、治療を行います。治療では内科的治療(抗癌剤等の薬物療法)および外科的治療(手術)を当科が担当し、放射線治療は放射線腫瘍科と連携して施行します。
 インフォームドコンセント(患者さんに正確な情報をわかりやすく提供し、ご理解いただいた上で納得のいく治療を選択していただく事)を診療の基本とし、ガイドライン(日本や国外の学会が現時点で最も優れているとされる治療を推奨したもの)に沿った標準的治療をより高いレベルで提供する事を心がけています。一方、一般の病院では対応が困難な治りにくい癌に対しては、標準的治療のみでは立ち向かえません。当院は多種多様な癌の専門医がおりますので、良い解決策を求め総合力で癌と闘います。このように個々の患者さんの状況に応じて、より良い診療、より患者さんに負担の少ない治療、QOL(生活の質)を大切にした治療を目指しています。

 もう少し具体的に説明します。初期の癌であれば負担の少ない治療で機能をできるだけ温存しつつ完治を目指します。高度な技術を備えた専門医が最先端の診療を行うことにより治療成績は国内のトップレベルを維持していると自負しています。特に近年増加傾向にある早期前立腺癌については手術または放射線治療による治療により、いずれもほぼ100%の10年疾患特異生存率(10年間前立腺癌で亡くならない可能性)が得られています。膀胱癌、腎臓癌、精巣癌でも初期癌においては治癒率が高い事は同様で、治せる癌をきちんと治す、ということが最も大切です。これらの初期の癌に対しては治療成績のみならず、少ない合併症、短い入院期間、癌に対する不安の解消、術後の適切なフォローなど、より安心で負担の少ない治療を提供できるように心がけています。
 一方、時には完治が難しいと判断される状態で受診される方もいらっしゃいます。このような方にもできるだけ完治に近づく治療を探るとともに、QOLを維持しながら穏やかに生きられる日々が少しでも長く続くよう、患者さんやご家族と相談しながら適切な治療を選択します。患者さんの求めるところは様々であり、治りにくい癌と最後まで徹底的に闘う方も、癌と共存しつつ穏やかな生活を優先する方もいらっしゃいます。いずれの場合でも個々の患者さんの要望に沿ったより良い診療を提供いたします。また、従来の治療では十分な治療が困難な場合、選択可能であれば、臨床試験(将来的に有望と考えられる新しい治療の有効性を調べるための試験)に参加していただく場合もあります。

受診の仕方

 当科を受診される際にはかかりつけのお医者さんからの紹介状が必要です。また、健康診断等で癌の疑いがある場合にも受診可能です。病院の予約専用番号(045-520-2210)に電話すれば予約はほぼ1週間以内に可能です。また、他の病院で癌の治療中の方で、じっくりと専門的アドバイスを受けたい方にはセカンドオピニオン外来がお勧めです。主治医の先生に依頼して病状に関する資料を準備して頂き、その上で同様に予約を取ってご利用ください(有料)。
 その後の外来(再診)は予約制ですが、急な相談や病状の変化などで早めに受診したい場合は電話で予約を入れてください。緊急時もお電話いただければその日のうちに診療いたします。

診療予定表

  土日祝日
1診 岸田 手術日 梅本 岸田 手術日 かかりつけの方で体調が優れない場合、お電話ください。
当直医(泌尿器科ではありません)が対応します。
2診 蓼沼 蓼沼 梅本
3診 安井 安井/軸屋 軸屋
セカンドオピニオン 梅本 岸田 蓼沼
臨時再来 お電話いただければいつでも診療します。
520-2210へ

スタッフ紹介

 当科は以下の5名の医師で診療しています。1人の医師が主治医として全責任を持って診療いたしますが、当科の診療指針に沿って全員が共通の認識で同じ質の診療を行います。治療方針はそれぞれの患者さんの病状をカンファランス(会議)で検討した上で決定いたしますので、5人全員があなたの主治医として診療しているのと同じです。どの医師が主治医でも安心してお任せください。

診療医師名 認定資格
泌尿器科部長 岸田 健泌尿器科部長
 岸田 健
 横浜市立大学医学部
  昭和62年卒
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
泌尿器科医長 梅本 晋泌尿器科医長
 梅本 晋
 奈良県立医科大学
  平成14年卒
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
泌尿器科医師 蓼沼 知之泌尿器科医師
 蓼沼 知之
 横浜市立大学医学部
  平成21年卒
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
泌尿器科医師 安井 将人泌尿器科医師
 安井 将人
 群馬大学医学部
  平成24年卒
日本泌尿器科学会 所属会員
泌尿器科医師 軸屋 良介泌尿器科医師
 軸屋 良介
 群馬大学医学部
  平成25年卒
日本泌尿器科学会 所属会員

(更新日:2016.6.1)

泌尿器科で取り扱う主ながんの診療について

前立腺癌

 高齢化とPSA健診の普及により、早期に発見できる癌が増えてきました。早期であれば十分完治が可能であり、手術、放射線治療を中心に治療を行います。また、進行した状態でも多くの場合、癌と共存し治療を続けながら普通の生活を続ける事が可能です。最先端の治療を導入しておりますので安心してお任せください。

  • 手術:前立腺全摘術
     当科では一昨年、腹腔鏡下前立腺全摘を導入いたしました。本手術は約20年の歴史を持ち、安定した術式が確立しています。開放手術に比べると高度な技術を要しますが、当科では腹腔鏡認定医が複数在籍することから導入に踏み切り、昨年は61例の手術を行いました。本手術は患者さんへの負担が少ないだけでなく、内視鏡により骨盤内の微細な構造を確認しながら繊細な手術が可能です。癌の制御率の向上も期待できると考えています。ロボット手術に比べ、より低コストで術者の触覚を温存したままの優れた手術方法です。
  • 放射線治療:体外照射
     放射線腫瘍科との共同でIMRT(最新のピンポイント照射技術)を導入し、前立腺のみに集中的に高い線量の放射線を当て、より高い効果を得つつ副作用を減らす事が可能になりました。IMRT治療では機器だけでなく高度の専門的技能が必要です。当院には優れた放射線治療専門医と関連スタッフがおり、県内の広い地域から治療の方を受け付けています。また、H27年12月から重粒子線治療施設「i-ROCK」が稼動開始いたしました。本治療は前立腺がんに対し、極めて少ない副作用で高い有効性を示します。前立腺がんでは先進医療として承認されており、重粒子線治療の部分は自費、その他のホルモン療法や検査費用は健康保険が使えます。詳しくはホームページ内の重粒子線治療の項をご覧ください。
  • 薬物療法:ホルモン療法+抗がん剤治療
     残念ながら進行した状態で前立腺癌が見つかった方でも、男性ホルモンを抑える治療(内分泌療法)によってほぼ100%の方で効果が得られます。この治療で完治は得られませんが、薬物療法を適切に使用する事によって長期にがんと共存することを目指します。当院では抗がん剤(ドセタキセル)の早期からの導入により進行癌でも長期生存(10年以上)されている方もいらっしゃいます。薬が効きにくくなった方には最近導入された新規ホルモン剤や新規抗がん剤への変更により、できるだけ長く病気が抑えられるように工夫します。また本年7月からはラジウムという放射線同位元素を使った骨転移に対する新しい治療が導入される予定です。

 このように前立腺癌の治療には様々な選択がありそれぞれに利点、欠点があります。患者さんと相談しながらより良い治療を決めていくようにする事が大切であると考えています。

腎癌

  • 手術
     完治のためには手術で取りきる事が必要です。大きい腎癌に対しては、従来通りの開放手術(お腹を開ける手術)で20㎝以上の巨大な癌でも摘出可能です。一方、7cm程度までの癌に対しては腹腔鏡下腎摘除術を導入し、出血量を減らし小さい傷で摘出する事により患者さんの身体に与える負担を出来る限り少なくする手術を行っております。またさらに小さい腫瘍であれば腎臓の正常部分を残し腫瘍のみを摘出する、腎部分切除を選択します。近年ではこの部分切除も腹腔鏡で手術することが増えています。さらに転移がある方でもその転位部位が摘出可能であれば、高度な技術を有した他科(骨軟部腫瘍外科、呼吸器外科、消化器外科など)と連携し摘出を行い、癌の根治を目指します。
  • 薬物療法:分子標的薬治療
     手術で取りきる事が不可能な転移がある方の場合、薬物療法が治療の中心となります。従来行われてきたインターフェロンによる免疫療法と新たに開発された分子標的薬による治療を、患者さんの病状や転移の部位により選択し、効果と副作用のバランスを考えながらより良い治療を患者さんとともに考えて選択します。我々のグループは以前から腎癌の発癌機構を研究し、世界的に重要な報告をしてきました。この研究成果に基づいて開発されたのが分子標的薬であり現在日本では6種類が使用可能です。癌細胞特有の標的分子を攻撃する薬なので、従来の治療をはるかに上回る効果が得られます。一方で癌細胞のみを叩くことで副作用が少ない薬とも期待されていましたが、実際は多様な副作用が出現することがわかっています。6種類の分子標的薬を上手に使いこなすには多くの使用経験を積んだ専門医による副作用管理が極めて重要であり、効果と副作用のバランスの取れた適切な治療こそが長期生存の鍵である、と考えています。当院では分子標的薬治療をいち早く導入し、県内各地から紹介患者さんを受けてきました。経験が豊富で治療に精通している医師と副作用対策に長じた看護師、薬剤師が協力して診療に当たりますのでより良い治療が提供できると考えています。

膀胱癌

  • 手術
     経尿道的内視鏡手術、膀胱全摘などの手術による完治を目指すとともに、再発を予防するための抗癌剤やBCG膀胱注入療法(免疫療法)を行っています。年齢や合併症などで膀胱全摘が出来ない方やどうしても膀胱を残したい患者さんのために、放射線治療を組み合わせた膀胱温存を目指す治療も行っています。膀胱全摘は年間20件程度行われ、県内、国内でもトップクラスの数と良好な治療成績を誇っており、近隣の病院からの紹介も少なくありません。膀胱を摘出した後の排尿を従来通りに保つための新膀胱造設術も取り入れています。
  • 薬物療法;GC療法
     転移があるなど進行した病状の方には全身抗癌剤治療として最も有効性が高く、副作用の少ないGemcitabin-Cisplatin療法を行っています。入院点滴による治療ですが、できるだけ入院期間を短くし、通常の生活が送れる時間を少しでも長く保てるように工夫しています。この治療により多くの方で病気の進行を抑えより良い生活が送れることを目指しています。

精巣腫瘍

  • 神奈川の中心施設として
     20~30台の若い年代に多い悪性腫瘍です。初期のがんならほぼ100%治癒が可能です。一方、転移が広がり進行した病状では他の癌なら一般に完治が困難ですが、精巣癌では抗癌剤治療を適切に行う事によって完治を目指すことが可能です。しかし一部の進行癌では治りにくくなる(=難治性)こともあり、その原因の一つとして適切な治療ができていないことが挙げられています。患者さんの数が少ないためできるだけ経験の豊富な専門施設での治療が望ましいと考えられていますが、当院では広く神奈川県全域から進行精巣癌の治療のための紹介を受けつけていますので、その患者数は全国でも有数の施設となっています。これらの難治性の患者さんを救う事は癌専門病院である当院の責務であると考えており、時には1年以上かかる大変困難な治療を積極的に行っています。難治性と考えられる患者さんの治療成功のためには、適切な標準的治療(有効性が明らかに証明されている治療)の導入に加え、新規抗がん剤、大量化学療法など最新の抗癌剤治療、12時間以上に及ぶ大手術、などの高度な技能が必要で、我々はこの難敵を克服するために日々取り組んでいます。

終末期医療について

 どんな癌にもある一定の割合で、完治が望めない方がいらっしゃいます。そのような方でも決して希望を失わず癌と共存しながら少しでも長くより良い生活が送れるようにするため、我々は適切な医療を提供しています。
 ただし、「医療」というのは癌と闘い続ける事だけではありません。医学が進んだ現在でも癌に対する治療には限界があり、癌と闘う治療を最期まで続けることは本人のためにならない、と判断される場合もあります。患者さんが希望する限り癌と闘う治療の可能性を探る事は我々の務めでありますが、どこかで緩やかに路線変更する道を提案する事も癌の専門医として大切な事です。そして、癌と闘う治療が難しくなったとしてもがんセンターでの診療が終わりになるわけではありません。日々より良い生活が送れるように、症状緩和に努め、在宅療養支援や地域の診療所や訪問看護ステーションとの連携を図り、ひとりひとりの癌患者さんが尊厳を失わずに暮らせていけるように支えていくことも我々の使命であると考えています。
 なお当院には緩和医療内科、緩和医療病棟があり、この部門との連携により、より質の高い終末期医療が行える体制を提供いたします。

最近の主な手術件数

術式/年度 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
腎癌 開放腎摘 14 20 16 11 13 15 5 13 5
腹腔鏡腎摘 0 6 16 18 13 8 13 19 22
腎部分切除
開放手術
5 4 4 8 8 5 4 8 5
腎部分切除
腹腔鏡手術
          3 3 1 6
腎盂尿管癌 開放手術 8 7 4 3 4 3 4 3 1
腹腔鏡手術 0 5 6 5 4 4 7 10 11
膀胱全摘 5 3 10 8 16 22 16 10 21
前立腺全摘 開放手術 28 19 21 27 15 14 22 15 1
前立腺全摘 腹腔鏡手術               10 62
高位精巣摘除 7 10 9 5 11 10 10 6 7
後腹膜リンパ節郭清 0 5 2 6 3 4 6 7 4
副腎腫瘍 1 0 1 2 1 4 3 2 3
経尿道的膀胱腫瘍切除     134 110 111 141 127 140 165

  • 節電のご協力ありがとうございました
  • No Smoking
  • がんセンター外観