診療科・各部門のご案内
頭頸部外科

特色

 頭頸部がんとして治療する部位は、

  1. 口唇、口腔
  2. 咽頭(上咽頭、中咽頭、下咽頭)
  3. 喉頭
  4. 上顎洞
  5. 鼻腔および副鼻腔
  6. 唾液腺
  7. その他(外耳、中耳、原発不明の頸部リンパ節などがあります)

 頭頸部がんの治療は患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を少なからず障害します。私たちの治療のゴールは進行がんであっても単に生存率の向上だけではなく、できるだけ治療後も通常の生活に戻っていただくことが重要と考えています。そのために海外あるいは本邦の臨床試験の結果を吟味し様々な治療法を構築してきました。
 その結果、放射線、手術、化学療法、分子標的薬剤の併用で、QOLを維持しながら頭頸部がんを治すことが可能になってきました。
 従来は手術が適応とされる進行がんでも化学療法と放射線の同時併用療法で臓器や機能を温存できるようになりました。また高齢や合併症のために化学療法と放射線の同時併用療法ができない場合や、中咽頭がんには分子標的薬剤と放射線の同時併用療法も提案しています。舌、上顎洞の進行がんには放射線診断科とともに超選択的動注による化学療法と放射線の同時併用療法も行っています。根治治療後の生存率を向上する目的で補助化学療法も考慮しています。
 治療の完遂率を向上するために治療中の副作用を軽減すること、QOLを維持するために治療後の後遺症の軽減にも取り組んできました。そのために歯科口腔外科による口腔ケア、リハビリテーション科による嚥下訓練、音声訓練、栄養管理課による栄養指導なども積極的に行っています。
 放射線治療は放射線腫瘍科とともに病変の線量を増加し後遺症に影響する領域の線量を減らす強度変調放射線(IMRT)を行っています。また悪性黒色腫、非扁平上皮癌(腺癌、腺様嚢胞癌、肉腫など)には高度先進医療として重粒子線治療も行っています。
 手術は治療成績を損なわずにできるだけ機能を温存することに配慮してきました。そこで咽頭の表在がんあるいは早期がんには内視鏡手術を積極的に行っています。
 根治の難しい再発がんには患者さんが自宅で有意義な生活が継続できる化学療法あるいは分子標的薬剤あるいは免疫チェックポイント阻害剤を提案しています。
 さらに新しい治療法の開発のための臨床試験を行っています。
 これらの治療が無効となりがんによる苦痛が増強し、患者さんや家族が緩和医療への移行を希望された場合には、患者支援センターのネットワークを駆使し速やかに在宅あるいは緩和施設での治療が受けられるように援助しています。

治療法

 手術が最善の方法とされていた進行がんでも手術後の後遺症を考えて放射線を希望する患者さんが増えてきました。そこで放射線の治療成績の向上を目的に化学療法と放射線の同時併用療法 の臨床試験が行われ、進行がんの方でも手術の治療成績を維持しながら化学療法と放射線の同時併用療法で臓器と臓器の機能を残せることが明らかになりました。当科では1999年から化学療法と放射線の同時併用療法を開始しました。また高齢や合併症のために化学療法と放射線の同時併用療法ができない方、中咽頭がんの方には分子標的薬剤と放射線の同時併用療法も行っています。
 また手術が困難なほど進行したがんには化学療法と放射線の同時併用療法、分子標的薬剤と放射線の同時併用を行っています。
 外来における補助化学療法が生存率を向上することが本邦の臨床試験で明らかになりました。そこで手術あるいは放射線治療後の補助化学療法を提案しています。
 また再発、遠隔転移で根治治療が望めない場合は、QOLを維持しながら有意義な時間をできるだけ永く過ごせるように化学療法、化学療法と分子標的薬剤の併用療法を行っています。これらの治療の効果が認められない場合には免疫チェックポイント阻害剤の提案も考慮します。
 手術は治療成績を損なわずにできるだけ機能を温存することに配慮しています。やむなく拡大手術を余儀なくされた患者さんには、術後の機能障害に考慮した再建手術を工夫しています。また早期癌には内視鏡下の手術も積極的に行っています。
 耳下腺がんは耳下腺内を貫いている顔面神経を犠牲にする手術が行われる場合があります。当科ではなるべく顔面神経を残して、顔面神経麻痺の後遺症が残らないように配慮しています。また顔面神経を犠牲にした手術と同等の治療成績を維持するために悪性度が高く、再発の危険性の高いがんには手術後に放射線治療を追加しています。その結果、顔面神経を温存した手術でも顔面神経を切除する手術と同等の治療成績を確保しています。
 唾液腺がん、悪性黒色腫などで機能と臓器温存を希望されるか、手術が困難なほどの腫瘍が進行した場合には重粒子線治療あるいはサイバーナイフ治療を紹介しています。

治療成績

 以上の治療によるがんの進行度を表わす病期別の5年生存率は病期のIが98%、IIは86%、IIIは72%、IVは48%です。進行がんの手術の5年生存率は病期のIIIが75%、IVは59%まで上昇しました。しかし、放射線治療は病期のIIIが69%、IVが42%と、病期のIIIは手術と有意差のない成績でしたが、病期のIVは手術より有意に予後は不良でした。放射線の治療成績の向上のために、前述した様に当科では手術不能あるいは手術を希望されない患者さんに化学療法と放射線の同時併用療法を積極的に行ってきました。手術適応となる進行癌で化学療法と放射線の同時併用療法を行った患者さんの5年生存率は病期のIIIが76%でIVは56%と良好な結果を示しています。Stage IIIとIVの進行癌でも化学療法と放射線の同時併用療法で臓器を残しても手術に匹敵する生存率が得られています。従来は手術による後遺症を余儀なくされた進行がんでも多くの方が臓器を残して日常の生活に復帰されています。
 進行がんと診断されても機能を損なわずに今まで通りの生活に戻り、有意義な時間を過ごすことをあきらめないでください。

スタッフ紹介

診療医師名 認定資格
頭頸部外科部長
 久保田 彰
 横浜市立大学医学部 昭和55年卒
日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
日本気管食道科学会 気管食道科専門医
日本頭頸部外科学会 頭頸部がん暫定指導医
日本癌治療学会暫定教育医・臨床試験登録医
頭頸部外科医長
 古川 まどか
 三重大学医学部 昭和59年卒
 横浜市立大学大学院 昭和63年修
日本頭頸部外科学会 頭頸部がん専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
日本気管食道科学会 気管食道科専門医
日本超音波医学会認定 超音波専門医・指導医
日本リハビリテーション医学会認定医
日本癌治療学会暫定教育医・臨床試験登録医
頭頸部外科医師
 堀 由希子
 横浜市立大学医学部 平成20年卒
日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
頭頸部外科医師
 松下 武史
 横浜市立大学医学部 平成20年卒
日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医

(更新日:2017.4.18)

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