診療科・各部門のご案内
脳神経外科

診療のご案内

 当科は悪性脳腫瘍の治療に特化した専門科であり、原発性脳腫瘍(悪性神経膠腫、中枢神経原発悪性リンパ腫等)ならびに転移性脳腫瘍を主な治療対象としています。いずれの悪性脳腫瘍も現在の医学水準では手術のみでの根治は困難であり、放射線療法、化学療法を適宜組み合わせ治療成績の向上を目指しています。このため、他科医師はもちろんのことがん認定看護師や放射線技師等多職種の職員とも連携をとりながら、集学的に治療を行っています。

スタッフ紹介

診療医師名 認定資格
脳神経外科部長
 佐藤 秀光
 横浜市立大学医学部 平成6年卒
 横浜市立大学大学院 平成12年修
日本脳神経外科学会専門医
脳神経外科医長
 山田 幸子
 横浜市立大学医学部 平成18年卒
 横浜市立大学大学院 平成25年修
日本脳神経外科学会専門医

(更新日:2018.6.7)

外来診療日

 
(午前)

(午前)

(午前・午後)

(午前・午後)
新患 山田 幸子 山田 幸子 佐藤 秀光 佐藤 秀光
再来     佐藤 秀光 佐藤 秀光
  ※ 可能な限り紹介状をお願いします。
  ※ その他紹介患者は適宜対応しています。

原発性ならびに転移性脳腫瘍

 (各種脳腫瘍に関しての情報は日本脳神経外科学会ホームページをご参照ください)

【診療実績】

平成29年度実績
 手術件数 88件
頭蓋内腫瘍摘出術 52件、生検術 3件、シャント術・オマヤ設置術 18件、その他 15件
平成28年度実績
 手術件数 68件
頭蓋内腫瘍摘出術 47件、生検術 1件、シャント術・オマヤ設置術 15件、その他 5件
平成27年度実績
 手術件数 70件
頭蓋内腫瘍摘出術 41件、生検術 2件、シャント術・オマヤ設置術 19件、その他 5件
平成26年度実績
 手術件数 53件
頭蓋内腫瘍摘出術 26件、シャント術・オマヤ設置術 15件、その他 12件
平成25年度実績
 手術件数 34件
頭蓋内腫瘍摘出術 26件、生検術 5件、その他 3件

悪性神経膠腫

 神経膠腫(グリオーマ)とは、神経細胞の支持組織であるグリア細胞から発生すると考えられている脳腫瘍で、原発性脳腫瘍のおよそ25%を占めています。神経膠腫は病理学的な組織悪性度と予後の組み合わせでグレードIからグレードIVまで分けられ、そのうちグレードIII(退形成星細胞腫、退形成乏突起膠腫)とグレードIV(膠芽腫)の神経膠腫を悪性神経膠腫と呼んでいます。悪性神経膠腫の標準治療として、まず手術を行い可能な限り腫瘍を摘出し、その後再発の防止・予防の目的で、放射線療法、化学療法を行います。残念ながら腫瘍が再発してしまった場合、現時点で確立された標準治療はありません。当院では再手術も含め、化学療法(テモダール、アバスチン、ギリアデル)、定位放射線治療(施行は他施設)などを行っています。

【手術治療】
 悪性神経膠腫における手術療法では、摘出度が高いほど予後が良いことが報告されています。このため、当院では全摘出を目指した広範摘出を基本としています。ただ、手術で新たに神経学的脱落症状を来すことは、QOLを下げることになりますので、ナビゲーションシステム、5-アミノレブリン酸蛍光診断を併用し、最小限の手術合併症と最大限の手術摘出率を目標に施行しております。また全摘出に近い症例では、摘出腔にギリアデルという抗がん剤を貼付し、直接的かつ持続的な抗がん剤の暴露を行っています。摘出困難な症例においては、ナビゲーション下定位生検術を施行しており、最小の手術浸潤で腫瘍の病理診断をつけることが可能です。

【放射線治療】
 放射線治療は、古くから悪性神経膠腫に対しエビデンスの確立された治療になります。基本的には拡大局所療法を行い、腫瘍とその周囲に放射線を照射します。線量は60Gy/30回となるように照射し、効果を高めるため、テモゾロミドという抗がん剤を内服しながら照射を行います。高齢者においては、短期照射(40Gy/15回)の非劣性が証明されているため、治療期間の短縮・副作用の軽減という観点から、個々の症例を検討し、放射線量の減量も考慮します。

【化学療法】
 標準とされる化学療法は経口抗がん剤であるテモゾロミドの内服治療になります。28日の周期のうち、5日間内服を行うというサイクルで治療を行っていきます。症例によっては点滴の抗がん剤アバスチンを併用することもあります。

中枢神経原発悪性リンパ腫

 診断時に中枢神経系以外には病巣を認めないリンパ腫をいい、近年増加傾向にあります。治療の原則は、生検術で病理診断を確定させた後、大量メトトレキサート療法を基本とする化学療法を行い、その後全脳照射を主体とする放射線治療を行うこととなります。現在標準化学療法とされているメトトレキサート大量療法は、1986年12月に当院で初めて施行された治療法になります。このため、当院には多くの治療経験があり、また再発例についても相談に応じられます。

【手術治療】
 中枢原発悪性リンパ腫においては、摘出率が予後に影響されないと報告されているため、原則的に生検術を行います。当院では、基本的にはナビゲーションシステムを用いた定位生検術を予定し、場合によってはナビゲーション下開頭生検術を行います。ただし、場所や年齢などの患者背景因子によって手術施行のリスクが高いと判断される場合は、手術施行が困難であることもありえます。

【化学療法】
 診断確定後に大量メトトレキサート療法を基本とする化学療法を行います。この抗がん剤は腎毒性が強いことが知られてるため、治療は入院で、腎臓の機能を検査しながら行うこととなります。基本は3週間毎に3コース投与を行いますが、状況によって減量/短縮、もしくは追加投与を行うこともあります。

【放射線治療】
 中枢原発悪性リンパ腫は放射線感受性の強い腫瘍であるため、標準治療として化学療法に引き続き全脳照射による放射線治療(30~40Gy)を行います。ただ全脳照射では、遅発性中枢神経障害発生のリスクが高くなることが知られています。これは特に高齢者に起こりやすく、また中枢神経原発悪性リンパ腫は高齢者に多い疾患であるため、神経毒性の軽減のため、当院では化学療法反応例では、待機的放射線治療も選択肢の一つとして考慮します。

転移性脳腫瘍

 体にできたがんが脳に転移し、大きくなってしまったものです。がん患者の約10%に、症候性の転移性脳腫瘍が発生するといわれています。特に肺癌、乳癌からの転移が多くみられます。がん専門病院の特性上、転移性脳腫瘍の治療は多く経験しています。当院の転移性脳腫瘍に対する基本方針として、患者様のQOLを重視して長期入院をできるだけ回避し、自由で有意義な時間を過ごせるように配慮しています。実際には、脳転移の数、大きさ、場所などを考慮し、手術、放射線治療(全脳照射、定位放射線治療)、化学療法を組み合わせ、治療を行います。定位放射線治療を選択した場合は、他院での施行となりますが、綿密な協力体制の元、早期対応が可能となっています。転移性脳腫瘍の場合、主治医は原発部位の先生となりますが、原発巣のがん種の特性や患者様の背景などによる治療反応性を考慮し、個々の症例に応じた治療を選択するよう、主治医と密に連携をとりながら治療方針の決定を行っています。このための連携体制が整っていることもがん専門病院である当院ならではの特徴となります。

【癌性髄膜炎】
 腫瘍細胞が脳脊髄液を介して脳表やくも膜下腔、脳室内などに伸展した病態で、髄膜癌腫症とも言います。頭痛や吐気、物が2重に見える複視やめまいなどの症状を認めることがあり、根本的な治療は困難な場合が多いです。近年では、原発が肺癌の癌性髄膜炎には、分子標的薬が効果がみられる場合があり、主治医の科と連携して総合的に治療をしております。患者様の症状緩和、QOLを維持する目的で、放射線治療や髄注化学療法の治療を行うこともあります。
 また癌性髄膜炎では、脳脊髄液が過剰となり脳圧が亢進する水頭症を来すことがあります。その場合は、モルヒネなどの麻薬系の薬剤ですら痛みが取れない場合があり、髄液を廃棄するしか緩和する方法がない場合があります。人生の最期の時期の苦痛をできるだけ軽減すべく、そうした患者様に対しても、症状を改善の主な目的とし、オマヤ貯留槽設置術と髄液ドレナージ、症例によってはシャント術を積極的に行っています。

 参考文献:脳腫瘍診療ガイドライン 2016年版

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