診療科・各部門のご案内
東洋医学科(漢方サポートセンター)

沿革

 当院での漢方診療の歴史は古く、少なくとも1986年以前にさかのぼります。当時の事例として漢方薬による大腸がん肝転移症例の長期生存例が報告されており、NHKの特集として取り上げられたこともありました。そのため、漢方薬使用にはめずらしく抵抗が少ない病院でありましたが、組織だった漢方医学への取り組みは進みませんでした。その後、2005年4月から脳神経外科の診療枠内での診療が開始され、2007年から脳神経外科の特殊外来としての"漢方外来"を標榜して診療にあたってきました。2014年4月1日から、正式に単独診療科として診療にあたることになりました。

漢方とは

 漢方医学の源流は2000年ほど前の中国、ちょうど三国志の時代に遡ります。基礎医学に相当する"黄帝内経"、治療学としての"傷寒雑病論"、治療薬書としての"神農本草経"が成立したのもこのころで、これらを基にして成立・発展していった医学が世界各地に広まりました(東アジアに限らず、薬草書などはラテン語に翻訳されてヨーロッパにも伝えられています)
 漢方医学は日本に伝えられた古代中国医学が日本で固有の発展を遂げたもので、東洋医学の一角を占めますが、東洋医学とは同義ではありません。韓国には韓医学、中国には中医学がありますが、やはり東洋医学と厳密には同義ではありません。
 癌は"疒"に"岩"と書いていた時代があります。すなわち、岩の様に硬い塊―腫瘤―を指す漢字です。つまり、人間の五感で診察できる癌の診療は相当古い時代から行なわれていたことを示しています。この間には当然ながら"抗がん生薬"が使用されていた歴史がありますが、悪性腫瘍を治癒せしめるに至ってはいません。これは現代の漢方を含めた東洋医学でも同様です。したがって、漢方そのものだけで"がんを治したい"という要望には残念ながらお応えすることができません。
 ※ 抗がん生薬の有効成分の多くは、いわゆる抗がん剤として西洋医学的治療にすでに組み込まれています。

診療内容

 漢方サポート科の診療対象は以下のとおりです。

  1. 院内各科あるいは他施設から紹介された患者さん
  2. 他院で治療中であり、担当医が漢方治療にとりあえず同意してくれている患者さん
    (担当医が紹介状を積極的に用意してくれない場合)
  3. 主治医が漢方診療に同意してくれないが、とりあえず相談だけでもしてみたい患者さん(治療内容がわかる書類-お薬手帳、これまでの治療説明書や同意書など-をご用意されると便利です)
  4. がん患者さんのお世話をされている親族等で体調を崩している方

 主として保険収載となっている漢方薬等を活用して、西洋医学的治療の補助、合併症の治療、現在施行されている漢方治療に対する相談等を行います。前述したとおり、漢方のみによるがん治療は困難であり対象外となります。
 したがいまして、当科の役割は外来診療でできる範囲で、本来の診療科の担当医に協力して、西洋医学的治療を漢方医学の優れた部分で援助することにあります。なお、入院診療体制は採っておりませんのでご了承・ご理解のほどをお願い申し上げます。
 当科の治療の対象となるのは、西洋医学的治療が不得手な、がん患者さんの呈するさまざまな症状や病態です。全身状態として、だるさ、食欲不振、低栄養、冷え、浮腫、不眠、不安など、また個別症状としては"がん"にともなうさまざまな苦痛に加え、手術・放射線治療・抗がん剤の副作用や後遺症があります。
 漢方治療により、がん自体に伴う苦痛、および治療の副作用や後遺症としての苦痛を軽減し、QOL(生活の質)の向上をめざします。さらに患者さんが本来持っている自然治癒力を引き出すため、食事。運動、精神状態になどに関する生活指導を行います。

 ※ 「漢方サポートセンター 受診方法のご案内」

スタッフ紹介

診療医師名 認定資格
東洋医学科部長
 林 明宗
 横浜市立大学医学部 昭和53年卒
日本東洋医学会代議員・漢方専門医・指導医
脳神経外科専門医・指導医
日本頭痛学会専門医・指導医
日本疼痛漢方研究会常任世話人
痛みと漢方編集委員
日本脳神経外科漢方医学会理事
東洋医学科非常勤医師
 伊東 友弘
 昭和大学医学部 平成7年卒
 昭和大学横浜市北部病院非常勤医師
日本東洋医学会 漢方専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓学会専門医
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
日本がん治療認定機構 がん治療認定医
東洋医学科非常勤医師
 芹澤 敬子
 富山医科薬科大学 平成14年卒
 東邦大学医療センター
  大森病院 東洋医学科
日本東洋医学会 漢方認定医

(更新日:2016.4.1)

外来担当表

新患/再来
林 明宗
新患/再来
林 明宗
伊東友弘
新患/再来
林 明宗
再来のみ
林 明宗
新患/再来
林 明宗
芹澤敬子
(女性外来)

予約の方法

 漢方サポート科の対象は、院内各科あるいは他院から紹介されたがん患者さんなどです。

  1. 現在、当センタ-におかかりの患者さん
    ⇒ 担当医にご相談ください。
  2. 現在、当センターにおかかりでない患者さん
    ⇒ 紹介予約制が原則ですので、現在おかかりの主治医の紹介状が必要です。
  3. 主治医の紹介状が得られない場合
    ⇒主治医の漢方治療同意書でも可です。

 詳しくは下記にお問合せ下さい。

 ※ 電話:045-520-2228 患者支援センター(漢方専用)

診療延患者数

2014 2015 2016
延患者数(名) 2,212 3,690 3,640
新患数(名) 246 339 331

これまでの診療実績

  • 末梢神経障害(化学療法後など)
  • 治療に関連する更年期症候群(乳がん、子宮・卵巣がんなど)
  • 癌証(体調不良など)の改善
  • リンパ浮腫(乳がん、婦人科がんなど)
  • 手足症候群等皮膚障害(分子標的薬など)
  • 放射線性皮膚炎の予防・軽減
  • 脳浮腫の管理
  • 疼痛管理
  • その他、がん治療にともなうさまざまな愁訴

抗がん剤性末梢神経障害の治療成績(2014年4月1日~2016年6月30日 204例)

抗がん剤性末梢神経障害の治療成績(2014年4月1日~2016年6月30日 204例)

著明改善(改善度100~75%) 62例  (30.4%)
改善(改善度75~50%) 41例  (20.1%)
やや改善(改善度50~25%) 23例  (11.3%)
変化なし(改善度25~0%) 44例  (21.5%)
脱落 34例  (16.7%)
* 変化なしの群では、半数近くの症例において抗がん剤治療が継続されており、末梢神経障害の進行が抑制されていると考えられる。

がん治療関連更年期症候群の治療成績(2014年4月1日~2015年末 54例)

著効(改善度80%以上) 25例  (46.3%)
有効(改善度50~80%) 12例  (22.2%)
やや有効(改善度30~50%) 4例  (7.4%)
無効(改善度30%未満) 0  
脱落 13例  (24.1%)

これまでの主な業績

学会発表-シンポジウム、ワークショップ、国際学会のみ

  1. 林 明宗:中枢神経系悪性腫瘍における補剤使用の意義(シンポジウム)
  2. 林 明宗:脳神経外科領域における漢方の応用.国交回復30周年記念日中医学会2002.
     中西医結合医学会分科会.(北京),2002,11.
  3. 林 明宗:総合医療の実践と未来.国交回復30周年記念日中医学会2002.
     中西医結合医学会分科会(シンポジウム).(北京),2002.11.
  4. 林 明宗:シンポジウム"こんな時には漢方を":脳神経外科における漢方の応用.
     第53回日本東洋医学会サテライト・シンポジウム(福岡),2003.5.
  5. A. Hayashi: Oriental medical therapy for anti-cancer therapy complication – Usefulness of nourishing kidney-Qi.The 12th International Congress of oriental  medicine(Daegu, Korea).2005.10
  6. A. Hayashi: Effectiveness of Gorei-San ( Wuling San ) for eliminating brain edema due to malignant brain tumors.The 13th Congress of the International Headache Society,(Stockholm). 2007.7
  7. A. Hayashi: Effectiveness of Gorei-San ( Wuling San ) for eliminating brain edema due to malignant brain tumors.The 5th meeting of Asian Society of Neuro-oncology. (Istanbul)2007.11
  8. A. Hayashi:Usefulness of Oriental Medical Therapy for Complications of Anti-Cancer Therapy.
     The 14th International Congress of Oriental Medicine. (Taipei)2007.12
  9. Akimune Hayashi: Effectiveness of Gorei-San ( Wuling San ) for eliminating brain edema due to malignant brain tumors. The 3rd Quadrennial meeting of the world Federation of Neuro-Oncology joind with the meeting of the Asian society for Neuro-Oncology. ( Yokohama ),2009.5
  10. A. Hayashi and H. Sato:Therapeutic Effect of Shiun-ko ( Zi-yun-gao ) for Radiation-induced Scalp Dermatitis. 15th International Congress of oriental medicine.( Makuhari ) 2010/2
  11. A. Hayashi: Oriental Medical Treatment for Radiation-induced Scalp Dermatitis The 7th meeting of Asian Society of Neuro-oncology.(Seul)2010/6
  12. A. Hayashi: A new oriental medical approach to eliminate brain edema complicated with malignant brain tumors – efficacy of Goreisan (an aquaporin inhibiter). The 9th Congress of the European Association of Neuro-oncology (EANO 2010), (Maastricht) 2010/9
  13. 林 明宗:頭蓋内悪性脳腫瘍にともなう脳圧亢進症状に対する五苓散の臨床効果.
    国際東洋医学会日本支部・第1回特別シンポジウム.ISOM・Japan五苓散シンポジウム.(東京)2010/10
  14. 林 明宗:がん治療合併症緩和に対する紫雲膏の臨床応用.和漢医薬学とがん(シンポジウム).第29回和漢医薬学会学術大会.(東京)2012/9
  15. A. Hayashi:Clinical application of Shiunko for dermal complications related to cancer therapy. 16th International Congress of oriental medicine. ( Seul ) 2012/9
  16. A. Hayashi:Therapeutic Effect of Shiun-ko for Radiation-induced Scalp Dermatitis. 16th International Congress of oriental medicine.( Seul ) 2012/9
  17. 池西 優理子, 佐藤 秀光, 林 明宗:脳腫瘍治療における漢方の応用(シンポジウム).第72回日本脳神経外科学会総会.(東京)2014/10
  18. Akimune Hayashi:Prophylactic usage of Shiunko to prevent radiation-induced Scalp Dermatitis ― A preliminary report. The 14th Congress of the European Association of Neuro-oncology (EANO 2014), (Turin, Italy) 2014/9
  19. 林 明宗:がん治療の漢方サポート.第66回日本東洋医学会総会(シンポジウム)、(富山),2015/6
  20. A. Hayashi:Kampo therapy for peripheral neuropathy complicated with anti-cancer chemotherapy. 18th International Congress of oriental medicine.( Okinawa ). 2016/5
  21. Akimune Hayashi: Kampo(Japanese traditional herbal medicine)therapy for peripheral neuropathy complicated with anti-cancer chemotherapy The 5th Quadrennial meeting of the world Federation of Neuro-Oncology. (Zürich, Switzerland), 2017/5

論文等

  1. 林 明宗,久間祥多,武宮省治,山下浩介:中医学的治療−鍼治療と漢方薬−が奏功した難治性癌性疼痛の一例.癌の臨床,43(4):487-491,1997.
  2. 林 明宗:抗癌剤性多発性神経炎に続発した不定愁訴に八味地黄丸が奏功した1例,漢方診療,16(2):25-27,1997.
  3. 林 明宗:脳神経外科領域における五苓散の応用.漢方と最新医療9(4): 389-392,2000.
  4. 林 明宗:・子宮悪性腫瘍術後の遷延性下腹部痛に対する漢方治療.痛みと漢方.15:65-67,2005.
  5. 林 明宗:臍帯血移植後に発症した左側腹部〜腰背部頑痛に対する漢方治療.痛みと漢方 16:93-96,2006.
  6. 林 明宗,佐藤秀光:術後補助療法に合併した嚥下痛・嚥下障害の漢方治療.脳神経外科と漢方 講演記録集Ⅱ(第11回~15回)p68-69,2007.
  7. 林 明宗:癌化学療法・内分泌療法に合併する諸症状に対する漢方治療.脳神経外科と漢方 講演記録集Ⅱ(第16回)p43-45,2008.
  8. 林 明宗,佐藤秀光:下咽頭癌末期の頭頸部痛に漢方治療が有効であった1症例.痛みと漢方 18:3110-113,2008.
  9. 林 明宗:頭蓋内悪性脳腫瘍にともなう脳浮腫に対する五苓散の臨床効果.漢方と最新医療17(4): 226-231,2008.
  10. 林 明宗:放射線性皮膚炎に対する紫雲膏の応用.脳神経外科と漢方 講演記録集(第17回)p26-28, 2009.
  11. 林 明宗、佐藤秀光:脳腫瘍に合併する脳浮腫に対する五苓散の治療効果.脳神経外科と漢方 講演記録集(第18回),p26-27, 2010.(会長賞)
  12. 林 明宗、佐藤秀光:頭皮放射線性皮膚炎に対する紫雲膏の治療成績.日本東洋医学雑誌: 62(2), 142-146, 2011
  13. 林 明宗:脳浮腫と五苓散の効果.漢方医学、35:184-185,2011
  14. 林 明宗、佐藤秀光:放射線性皮膚炎に対する紫雲膏の治療成績.脳神経外科と漢方 講演記録集(第19回),p87-89, 2011.
  15. 林 明宗:乳癌治療合併症に対する漢方治療.漢方と最新治療.21:87-93, 2012.
  16. 林 明宗,佐藤秀光、久保田彰、古川まどか、八木宏章、舛田佳子、関宣明、三嶋敬子、伊藤礼子:化学放射線治療に合併する重症放射線性皮膚炎の疼痛に対する紫雲膏の治療効果-副腎皮質ホルモン不応例に対して-.痛みと漢方 22:48-51, 2012.
  17. Akimune Hayashi:Clinical Application of Shiunko for Dermal Complications related to Cancer Treatment. J Trad. Med. 30:27-,30,2013.
  18. 林 明宗:分子標的薬に合併した手足症候群に対する漢方治療経験.漢方と最新治療.22:161-166,2013
  19. 林 明宗,舛田佳子,関 宣明:分子標的薬による難治性皮膚障害に対する漢方治療経験.脳神経外科と漢方 講演記録集(第21回),p42-44, 2013.
  20. 林 明宗:頭蓋内悪性脳腫瘍にともなう脳圧亢進症状に対する五苓散の臨床効果.五苓散シンポジウム記録集〔エビデンスデータに基づいた五苓散の臨床応用を探る〕.国際東洋医学会日本支部・第1回特別シンポジウム.ISOM・Japan五苓散シンポジウム(東京).p24-28,2013
  21. 来村昌紀、中江啓晴、宮上光祐、林 明宗、室賀一宏:疾患別座談会、脳神経外科領域の漢方(上).漢方の臨床 61(4):569-588, 2014.
  22. 林 明宗:ゾロドレン酸水和物の副作用(骨痛・発熱)緩和に対する麻黄湯の臨床経験.痛みと漢方 24:149-151, 2014.
  23. 来村昌紀、中江啓晴、宮上光祐、林 明宗、室賀一宏:疾患別座談会、脳神経外科領域の漢方(下).漢方の臨床 61(5):737-761, 2014.
  24. 日本脳神経外科漢方医学会EBM委員会執筆・監修:EBMによる脳神経外科領域の漢方の使い方(第1版)。ライフ・サイエンス、東京、2014年10月3日
  25. 林 明宗:半夏白朮天麻湯が奏功した年余にわたる発作性頭位変換性眩暈症の1例.脳神経外科と漢方 講演記録集(第22回),p18-20, 2014.
  26. 林 明宗:放射線の傷を治す漢方.わたしのがんを消した奇跡の食事.
    しあわせMOOK『健康』、p92-95、2015
  27. 林 明宗:膵尾部粘液性嚢胞性腺腫摘出術後の遷延性背部痛に漢方治療が有用であった1例.痛みと漢方 25:83-86, 2015.
  28. 林 明宗:「医食同源」「薬食同源」に基づく薬膳と連携した漢方療法.
    統合医療でがんに勝つ。82(4):23-26, 2015
  29. 林 明宗:副作用による末梢神経障害に効く漢方.健康(主婦の友社)8月号:88-90, 2015
  30. 池西 優理子,林 明宗, 池谷直樹,佐藤 秀光: ギリアデル留置後に発生した脳浮腫に五苓散が奏功した1例.脳神経外科と漢方 1:75-77,2015
  31. 林 明宗:利水剤による慢性硬膜下血腫の治療.Ⅰ序論.漢方と最新治療24:255-256,2015
  32. 日本脳神経外科漢方医学会EBM委員会執筆・監修:EBMによる脳神経外科領域の漢方の使い方(第2版).ライフ・サイエンス、東京、2016年3月31日
  33. 林 明宗:抗がん化学療法に合併する末梢神経障害.脳神経外科と漢方 2:36-40,2016
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