診療科・各部門のご案内
腫瘍内科

腫瘍内科の特色

 腫瘍内科では、主に悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などのリンパ系悪性疾患(急性白血病を除く)の診療を行っています。これらの疾患に対しては、外来あるいは入院で行う通常抗がん剤治療の他、無菌室で行う自家末梢血幹細胞移植併用大量療法を行っています。また、大腸がんや甲状腺がん、神経内分泌がん、原発不明がんなどの一部の固形癌の患者さんに対するがん薬物療法も行っています。

 当科では、ご病状について十分にご理解いただいた上で、患者さんやご家族と相談しながら、お一人お一人にとって最良と考えられる治療方針の提案を心掛けています。最新の科学的根拠に基づいた標準的治療の提供をめざしますが、ご病気の状況によっては標準的治療法が確立されていない場合もあります。そのような場合は、他の診療科の医師や専門薬剤師、専門看護師等が集まって治療方針を話し合う"キャンサーボード"を開催し、治療方針を検討します。治療の内容や有害事象、生活の中での注意事項等に関し、担当医、専門薬剤師、専門看護師等がそれぞれの立場から説明いたします。また、必要に応じて、医療ソーシャルワーカーをはじめとした相談支援部門とも連携をとり、皆様が安心して治療が継続できるように、多職種によるチーム医療を展開しています。

 外来は、月~金曜日まで毎日診療を行っています。セカンド・オピニオン外来は火曜または金曜午後に随時受け付けていますが、お急ぎの場合は患者相談支援室の担当者を介してご相談下さい。

 図1は2016年~2018年に当診療科を紹介受診された患者さんの疾患ごとの人数になります。(これらの患者さんの中には他の病院で既に治療を受けた患者さんも含まれています。)

図1. 疾患別腫瘍内科新患患者数(2016年-2018年)
図1. 疾患別腫瘍内科新患患者数(2016年-2018年)

主な疾患の説明と治療方針、当科の治療成績

1)リンパ系悪性疾患(急性白血病を除く)

<悪性リンパ腫>

基礎知識

 悪性リンパ腫とは、細菌やウイルスなどの病原体から身を守るための免疫システムの一部であるリンパ系組織(リンパ節、脾臓、扁桃腺など)とリンパ節以外の臓器(脳、消化管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚など)、つまり全身のあらゆる場所から発生する血液の悪性腫瘍です。首、わきの下、足のつけ根などに痛みを伴わないしこりとして出現するほか、リンパ節以外のあらゆる場所に病気が生じることがあります。健康診断などで偶然発見されることがある一方で、原因不明の発熱、体重減少、寝具の取り替えを必要とするほどのひどい寝汗、息苦しさ、皮膚の発疹、痛みなどの症状を伴うこともあります。
 悪性リンパ腫になる原因の多くは、まだ明らかになってはいませんが、一部の悪性リンパ腫では、ウイルスや免疫不全状態などが関連していることが知られています。
 悪性リンパ腫と診断される人は60歳ころから増加し、70歳代で最も多くなります。
 日本で悪性リンパ腫にかかる患者さんは年々増加傾向にあります。がん統計予測で報告された、2018年の悪性リンパ腫のがん罹患数予測は32,400人で、大腸、胃、肺、乳房(女性)、前立腺、膵臓、肝臓についで、8番めに多い数でした。

分類

1. 病型分類

 悪性リンパ腫は、リンパ腫細胞の形や性質から、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類に大きく分かれます(表1)。さらに、細かい分類がおこなわれることで、80種類程度の病型(組織亜型)に分かれています。表1は悪性リンパ腫の病型分類の概要です。

表1. 悪性リンパ腫の病型分類の概要
表1. 悪性リンパ腫の病型分類の概要

2. 非ホジキンリンパ腫の臨床分類

 非ホジキンリンパ腫は、病気の進行の速さにより表2のように、3つのタイプに分けられます。

表2. 非ホジキンリンパ腫の進行スピードによる分類
表2. 非ホジキンリンパ腫の進行スピードによる分類

検査と診断

 悪性リンパ腫が疑われる患者さんには、症状が悪性リンパ腫によるものなのかどうか?他の病気の可能性はないのか? といった原因を診断するための検査を行います。また、悪性リンパ腫と診断された患者さんには、病気の広がり(病期)、病気の発症に伴う様々な異常の確認、治療開始にあたり全身状態の評価をするための検査を行います。

1. 診断のために必要な検査(病理検査)

 悪性リンパ腫の診断と病型分類を決定するために、病変部位(腫れているリンパ節や病気の存在が疑われる臓器)の一部をきりとり、顕微鏡で観察します。染色体検査や遺伝子検査を行う場合もあります。

2. 病気の広がり、全身状態を確認するための検査

  1. 血液検査、尿検査
    全身状態を知るために、血液検査や尿検査が行われます。検査項目には悪性リンパ腫の腫瘍マーカーである可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)や、一部のウイルスに関する検査も含まれます。
  2. 画像検査
    CTなどの画像検査を行い、病気の大きさや拡がりを調べます。
    また、PETという放射性物質を含んだブドウ糖液の薬剤を使用して、全身の薬剤の取り込みの広がりを確認する検査も行います。
  3. 骨髄検査
    リンパ球を含む血液細胞は造血工場である、骨の中の"骨髄"でつくられます。骨髄検査では、血液悪性腫瘍である悪性リンパ腫が骨髄に入り込んでいないかを調べます。検査する場所は腸骨という部分から調べます。
  4. 心電図、心臓超音波検査
    心臓の機能を評価して、抗がん剤治療に耐えられる心臓の状態であるかなどを判断します。
  5. 状況に応じて行う検査(内視鏡検査、脳脊髄液検査)
    内視鏡検査は、消化管に病変が疑われる場合に行います。
    また、一部のリンパ腫や神経症状(頭痛、麻痺など)を認める場合は、頭部MRI検査や髄液検査を行い、脳や脊髄といった中枢神経に病気が広がっていないかを確認します。

悪性リンパ腫の病期について

 悪性リンパ腫の病期はI期~IV期に分類されます(図2)。

図2. 悪性リンパ腫の病期の分類
図2. 悪性リンパ腫の病期の分類

  • I期   病変部位が1か所に限られている状態
  • II期 複数の病変部位が横隔膜を境にして上半身か下半身のどちらかに限られる状態
  • III期 複数の病変部位が横隔膜を境にして上半身と下半身の両側にある状態。
  • IV期 病変部位がリンパ外の臓器に広範に広がっている状態

全身症状の有無による細分類

 それぞれの病期は以下の1~3の全身症状が一つもない場合の"A"と、一つでもある場合の"B"にさらに分類されます。

  1. 発熱:38℃より高い理由不明の発熱
  2. 寝汗:寝具(掛け布団、シーツなど)を変えなければならないほどのずぶ濡れになる汗
  3. 体重減少:診断前の6カ月以内に通常体重の10%を超す原因不明の体重減少

主な悪性リンパ腫の治療方針と当科の治療成績

 次に、主な悪性リンパ腫の病型について、治療方針と当科のこれまでの治療成績を紹介します。
 いずれの病型においても、より良好な治療効果やより低い毒性の治療法の開発を目指して、臨床試験が行われている場合があります。その場合は改めてご案内させていただきます。

<非ホジキンリンパ腫>

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫:Diffuse Large B-cell Lymphoma (DLBCL)

 悪性リンパ腫の約30~40%を占めます。月単位で進行する、最も発生頻度が高い、中悪性度非ホジキンリンパ腫です。
 未治療びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の標準治療法はリツキシマブ併用CHOP療法(R-CHOP療法)です(図3)。当院では、R-CHOP療法は初回治療のみ入院で行い、2回目以降は外来で行います。治療は3週間隔で6~8回繰り返しますが、病気の分布によっては、3コース後に病気のある部分に照射を行って治療を終了することもあります。

図3. R-CHOP療法の実際
図3. R-CHOP療法の実際

 また、中枢神経系(脳、脊髄、脊髄液)に再発しやすい一部のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫では、R-CHOP療法の治療終了後にメソトレキセートによる追加治療を提案しています。

 治療の効果は、診断時の病気の拡がり(病期)や検査値、患者さんの全身状態などによって異なります。これらの条件を国際予後予測因子と呼び、治療開始前の予後予測因子の合計点数により、4段階のリスクにわけられます。合計点数が0-1点を「低リスク」、2点を「低中リスク」、3点を「中高リスク」、4-5点を「高リスク」に分類します。

<国際予後予測因子>

国際予後予測因子

 また、R-CHOP療法の治療効果が不十分といわれる一部のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(CD5陽性や、MYC遺伝子異常があるタイプなど)は、リツキシマブ併用容量調整EPOCH療法(DA-EPOCH-R療法)などの、より強い治療を入院で行っています。

 それぞれの治療で期待される効果と副作用は、個々の患者さんの病状によって異なります。詳細は担当医よりお聞きください。

当科の治療成績

  1. R-CHOP療法で治療を行った未治療びまん性大細胞B細胞性リンパ腫542人の5年生存率は75%でした(図4)。
  2. これらの患者さんの予後リスク別の5年生存率は低リスク(L)群87.2%, 低中リスク(LI)群76.5%、中高リスク(HI)群70.2% 、高リスク(H)群46.8%でした(図5)。

図4.
図4.

図5.
図5.

濾胞性リンパ腫:Follicular Lymphoma (FL)

 日本における悪性リンパ腫の約15-20%を占めます。年の単位でゆっくり進行する、低悪性度非ホジキンリンパ腫です。診断がついても、かならずしもすぐに治療を行わず、注意深い経過観察の方針がとられることもあります。また、年間数%の患者さんは、月単位で進行する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に腫瘍の性質が変化する場合があります。
治療法は病気の拡がりによって異なります。病気の部位が1か所あるいは2か所以上でも連続している場合は、その部分に放射線照射を行います。それ以外の場合は、病気の拡がりや大きさ、症状の有無、また、患者さんのご希望などを総合的に判断して、治療開始時期を検討します。
2019年現在、未治療濾胞性リンパ腫に対する薬物療法は、抗CD20抗体薬であるリツキシマブあるいはオビヌツズマブと抗がん剤治療のCHOP療法、CVP療法、あるいはベンダムスチンのいずれかを組み合わせた治療法が標準的治療になっています。
当院では、未治療濾胞性リンパ腫の患者さんの最初の治療法として、2015年までは主にR-CHOPを行ってきました。2016年以降は主にリツキシマブ・ベンダムスチン併用療法(RB療法)が選択されるようになりました。また、2018年後半以降はオビヌツズマブ・ベンダムスチン併用療法(GB療法)も行っています。また、ご高齢の患者さんや体力が落ちている患者さんに対しては、副作用が最も少ない、リツキシマブ併用CVP療法(R-CVP療法)や、リツキシマブ単剤療法を行っています。
治療法は個々の患者さんの状況を考慮して患者さんと相談の上、選択します。それぞれの治療で期待される効果と副作用は、個々の患者さんの病状によって異なりますので、詳細は担当医よりお聞きください。

当院の治療成績

  1. R-CHOPまたはR-CVP療法で治療を行った未治療進行期濾胞性リンパ腫117人の5年生存率は87.1%でした(図6)

図6.
図6.

マントル細胞性リンパ腫:Mantle cell lymphoma(MCL)

 発症頻度は比較的低く、日本における悪性リンパ腫の3%程度です。多くの場合、臨床病期IIIまたはIVの進行期として診断されます。進行期の治療方針は年齢や全身状態によって異なります。図7は2019年現在の大まかな治療の流れになります。

図7. 治療の流れ
図7. 治療の流れ

当院の治療成績

  1. 何らかの抗がん剤治療を行った未治療マントル細胞性リンパ腫34人の5年生存率は43.1%でした(図8)。
  2. これらの患者さんのうち、65歳以下の患者さんの5年生存率は58.8%、66歳以上の患者さんの5年生存率は21.6%でした(図9)

図8.
図8.

図9.
図9.

末梢性T細胞性リンパ腫: Peripheral T-cell lymphoma(PTCL)

 月単位で進行する、T細胞由来の中悪性度非ホジキンリンパ腫ですが、この中には、様々な病型が含まれています。代表的な病型は非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK+ALCL)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫(ALK-ALCL)です。4つの病型をあわせた発症頻度は非ホジキンリンパ腫の10%未満であり、稀なリンパ腫です。治療はCHOP療法が主体ですが、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫以外の病型では、その治療効果は必ずしも良好ではなく、標準治療は確立されていません。

当院の治療成績

  1. 未治療末梢性T細胞性リンパ腫43人の5年生存率は48.4%でした(図10)。
  2. これらの患者さんのうち、病型別の5年生存率はPTCL-NOS 36.4%、AITL 54.2%、ALK陽性ALCL75%、それ以外のALCL71.4%でした(図11)。

図10.
図10.

図11.
図11.

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL:adult T-cell leukemia-lymphoma)

 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL:adult T-cell leukemia-lymphoma)は、HTLV-1(human T-lymphotropic virus type-Ⅰ)というウイルスが感染したT細胞が、がん化して発症します。HTLV-1ウイルスに感染しても、必ずしもATLを発症するわけではありません。HTLV-1感染者(キャリアと呼びます)は九州や沖縄地方に多いことが知られ、キャリアーがATLを発症する確率は生涯で約5%程度とされています。発症のしかたによって、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の病型に分かれます。急性型、リンパ腫型、予後不良因子(BUN高値、LDH高値、アルブミン低値)をもつ慢性型は「アグレッシブATL」、予後不良因子を持たない慢性型とくすぶり型は「インドレントATL」とも分類します。アグレッシブATLは急速に病気が進行するため速やかに化学療法(VCAP-AMP-VECP療法)を開始します。化学療法のみで完治が難しい疾患であるため、比較的若年の患者さんでは、治療効果が得られ、かつ、ドナーさんが見つかった場合、同種造血幹細胞移植が勧められます。また、腫瘍細胞にCCR4抗原という蛋白がある場合は、モガムリズマブという抗体薬の使用が検討される場合もあります。

当院の治療成績

  1. 未治療成人T細胞白血病/リンパ腫17人(同種移植を受けた患者さんも含む)の5年生存率は36.6%でした(図12)。

図12.
図12.

<ホジキンリンパ腫>

 日本では発症頻度が低く、悪性リンパ腫全体の5~10%を占めます。病型は古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に大別されますが、古典的ホジキンリンパ腫が大半を占めます。治療法はABVD療法という抗がん剤治療と放射線治療の組み合わが基本になりますが、限局期(臨床病期IまたはII期)と進行期(臨床病期IIIまたはIV期、またはB症状を伴うか巨大腫瘤がある限局期)あるいはリスク因子の有無によって、抗がん剤の治療回数や放射線の有無や線量は異なります。図13は2019年現在の古典的ホジキンリンパ腫に対する治療の大まかな流れです。

図13. 治療の流れ
図13. 治療の流れ

当院の治療成績

  1. 未治療ホジキンリンパ腫66人の5年生存率は84.9%でした(図14)。
  2. これらの患者さんの病期別の5年生存率は限局期88.2%、進行期または巨大腫瘤のある限局期80.8%でした(図15)。

図14.
図14.

図15.
図15.

<多発性骨髄腫>

 多発性骨髄腫は「形質細胞(けいしつさいぼう)」という血液細胞のがんです。正常の形質細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る「抗体」をつくる働きをもっています。この形質細胞ががん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します。骨髄腫細胞は造血工場である骨髄の中で増加し、異物を攻撃する能力がなく役に立たない抗体(これをMタンパクと呼びます)をつくり続け、さまざまな症状を引き起こします。
 欧米と比較して日本では多発性骨髄腫の発症頻度は少なく、がん統計予測で報告された、2018年の多発性骨髄腫のがん罹患数予測は7,800人でした。

 多発性骨髄腫は一般的には慢性の経過をたどります。健診などで血液検査や尿検査の異常を指摘されて、無症状で見つかることも少なくありません。検査値の異常のみの場合は注意深い経過観察を継続し、検査データが悪化したり、症状が出現する場合に治療を開始します。一方で、貧血や高カルシウム血症、腎障害、骨病変、感染、アミロイドーシス等の症状を伴う場合は、すぐに治療を開始します(図16)。治療方針は、年齢や患者さんの全身状態等を判断して決定します。65歳以下の患者さんで、重篤な合併症がなく心肺機能が正常な患者さんに対しては、化学療法後に、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行うことをお勧めしています。現在、65歳以下の患者さんに対する導入療法は主に、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン併用療法を行っています。また、それ以外の患者さんに対する化学療法は、ボルテゾミブやレナリドミドが含まれた治療を患者さんの状況を総合的に判断しながら、個別に提案しています。
 また、65歳以下の患者さんで、他院で既に治療が開始され、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行うことを目的で当科に紹介される患者さんもいらっしゃいます。

図16.
図16.

当院の治療成績

  1. ボルテゾミブを含む導入化学療法を受けた未治療多発性骨髄腫患者40人の5年生存率は83.9%でした(図17)。
  2. これらの患者さんの年齢別の5年生存率は65歳以下93.3%、66歳以上73.3%でした(図18)。

図17.
図17.

図18.
図18.

2)固形がんの治療方針

 甲状腺がんや大腸がんなどは、ガイドラインに基づいた治療を行っています。また、甲状腺外科や大腸外科、消化管内科、放射線治療科などと連携して治療を行っています。
 神経内分泌がんや原発不明がんは、標準治療法が確立していませんが、これらのがんに対する当科の診療方針とこれまでの治療実績をご紹介します。

神経内分泌がん

 神経内分泌細胞に由来する腫瘍を神経内分泌腫瘍といいます。原発部位は消化管・膵・肺・胸腺が多く、原発が不明の場合もあります。消化器に発生する新規神経内分泌腫瘍は年間人口10万に3~5人であり、稀な腫瘍です。神経内分泌腫瘍は、比較的進行が穏やかな高分化神経内分泌腫瘍と進行が急速な低分化神経内分泌がんに大別されます。肺に発症した場合は、肺小細胞がんとして、呼吸器内科で治療が行われます。当科では主に肺以外に発症した低分化神経内分泌がんの治療を行っています。肺以外に発症した低分化神経内分泌がんの標準治療は確立していませんが、肺小細胞癌に準じて、一次治療では白金製剤(シスプラチンやカルボプラチン)とイリノテカンやベプシドの併用療法を行います。

 これまでに当科で化学療法を行った102人の神経内分泌がん患者さんの1年生存率は43.7%、治療開始からの中央生存期間は約10.4か月でした。

原発不明がん

 原発不明がんとは、転移先でみつかったがんのうち、様々な検査をおこなっても、おおもとのがん(原発部位)がどこであったかが、わからないがんです。頻度は、がん全体のおおよそ1~5%とされています。原発部位が確定していないため、原発不明がんと診断されるがんの中には種々の腫瘍が混在しており、様々な経過や症状がみられます。病理検査や画像検査等の必要な検査をおこない、原発部位が特定できないか、あるいは、特定のがんの特徴をもっていないか、等を総合的に判断して、治療方針を決定します。標準治療が確立していないため、原発不明がん全体の予後は一般に不良とされています(生存中央期間は6~9か月)が、一部に予後が比較的良好な患者さんがいらっしゃいます。次のような患者さんは予後良好な原発不明がんに分類されます。①女性で腋窩リンパ節転移腺癌のみの場合、②女性で腹膜転移のみ、CA125 が上昇している場合、③男性で骨転移のみの腺癌でPSAが上昇している場合、④頸部の転移性扁平上皮癌のみの場合、⑤組織型が神経内分泌腫瘍の場合、⑥50歳未満の男性で体の中央よりに病変が分布している低または未分化がんの場合。原発不明がんの診断、治療方針の決定においては、これらの①~⑥に該当する比較的予後が良好な病型であるか、それ以外の病型であるかを判断します。①~⑥の場合は、それぞれの病型で推奨される治療法を提案します。また、それ以外の病型の場合は、原発部位がみつからなくても、あるがん種からの転移が強く疑われる状況があれば、そのがん種に基づいた治療法を行います。特定のがん種が示唆されない場合は、一般に白金製剤をベースにした治療が選択されます。当科では、カルボブラチン・パクリタキセル併用療法を行っています。また、がん組織を用いてMSI検査という検査を行い、検査が陽性の場合は、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブの治療も選択枝になります。この検査を受けていただく場合は別途説明をいたします。
 2007年~2013年3月に当科に原発不明がんとしてご紹介いただいた患者さん118人のうち、81人の患者さんは引き続き精査を行い、このうち31人の患者さんは、原発部位が特定されました。残る50人の患者さんのうち、13人は予後良好群に該当し、37人はそれ以外に該当しました。予後良好群の患者さんの中央生存期間は1.6年、それ以外の患者さんの中央生存期間は約10ケ月でした。

スタッフ紹介(2019.4.1現在)

診療医師名 認定資格
腫瘍内科部長 酒井 リカ副院長
(兼)血液・腫瘍内科部長
(兼)医療管理部長
(兼)医療安全推進室長
(兼)医療の質評価推進室長
 酒井 リカ
 佐賀医科大学医学部
 平成元年卒
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会
 がん薬物療法専門医・指導医
日本血液学会 血液専門医・指導医
日本がん治療認定医機構
 がん治療認定医
日本輸血細胞治療学会 認定医
日本造血細胞移植学会
 造血細胞移植認定医
腫瘍内科医長 本橋 賢治腫瘍内科医長
 本橋 賢治
 横浜市立大学医学部
 平成14年卒
日本内科学会 総合内科専門医
日本血液学会血液専門医・指導医
日本造血細胞移植学会
 造血細胞移植認定医
腫瘍内科医長 高橋 寛行腫瘍内科医長
 高橋 寛行
 横浜市立大学医学部
 平成19年卒
 横浜市立大院
 平成24年修了
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会
 がん薬物療法専門医
日本血液学会 血液専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医
腫瘍内科医師 松村 彩子腫瘍内科医師
 松村 彩子
 長崎大学医学部
 平成25年卒
日本内科学会 認定内科医
腫瘍内科医師 佐久間 敬之腫瘍内科医師
 佐久間 敬之
 金沢大学医学部
 平成27年卒
 
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