診療科・各部門のご案内
消化器内科(消化管)・消化器外科(胃)

特色

診療件数

 2015年度、当科で手術した症例は、228例でした。うち、胃癌の診断にて胃切除を受けた症例は182例で、腹腔鏡下胃切除106例(全摘15例、噴門側胃切除4例、幽門側胃切除84例、幽門温存胃切除3例)、開腹胃切除76例(全摘31例、噴門側胃切除12例、幽門側胃切除33例)でした。

患者さんへの分かりやすい診療

 胃がん、胃GISTの初発患者さん向けに、病状、治療方針、詳細な手術方法やリスク/利益/他の治療法、周術期の化学療法、切除困難/再発後の治療などについて、現在のエビデンスと当院の治療成績を紹介した冊子を作成しています。これらの冊子を用いて、丁寧に説明することを心がけています。担当医ごとに説明内容がぶれることはありません。

エビデンスに則った診療

 すべての患者さんの推奨治療方針は、消化器内科、放射線腫瘍科、病理診断科などと連携したキャンサーボード(多部門の専門家による症例検討会)での会議によって決定しています。現在、手に入れられる最先端の標準治療(http://www.jgca.jp/guideline/)を行うことを基本としています。併存疾患などによって、標準診療を行うことが難しい患者さんでは、臓器ごとのリスクを詳細に評価し、もっとも優れていると考えられる推奨治療法をキャンサーボードで決定します。担当医ごとに推奨治療がぶれることはありません。患者さんには専門家としての推奨治療をお示ししたうえで、お一人お一人の患者さんのご希望を聞きながら、最終的な治療方針を決定しています。
 標準診療として行われる手術は、すべて定型化しています。術野/視野の展開、使用する手術器具、操作を定型化し、ビデオ/冊子を作成しています。看護師と情報を共有することで、より安全でスピーディーな手術を実現しています。

高度な専門的医療

 理論的には、より治る可能性の高い治療、より延命効果が期待できる治療、より副作用の少ない治療、より合併症の少ない治療を、全国のがん専門病院や大学病院と連携して、臨床試験として行っています。これまでに、築かれてきた胃がんの最新の標準治療も、その開発のほぼすべてに関わってきました。現在も、数多くの臨床試験を実施しています。当科が主導している臨床試験も数多くあります。ほとんどの患者さんが、複数の臨床試験に参加されて治療を受けられています。
 治療法として期待されてはいるものの、保険診療では承認されていない薬剤/投与方法も、一部治験や先進医療として実施しています(JCOG1301試験におけるHER2陽性進行胃癌に対するトラスツズマブ併用術前化学療法など)。また、スタッフ2名が、患者さんに優しい腹腔鏡下胃切除術の資格(日本内視鏡外科学会技術認定医)を有しています。専門の医療工学技士/看護師と連携し、腹腔鏡チームを作り、手術を行っています。現在も、難度の高い胃全摘術や噴門側胃切除術は臨床試験(JCOG1401試験)として行っていますが、幽門側胃切除術は早期がんであれば腹腔鏡手術を優先的に行っています。「当科の腹腔鏡手術/チームを見学したい」などの要望も多く、他病院からの見学者も受け入れています。当院の内視鏡治療はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の導入でがん治療ガイドライン病変だけでなく適応拡大病変にも対応しています。
 がんの診療では、まだ明らかとなっていないことが数多くあります。診療で得られた貴重なデータをまとめ、英文誌に報告するなど世界に向けて発信しています。2015年度は、6本の英文誌報告と12本の邦文誌報告に加え、当院のデータを活用した発表が国際学会で13回報告されました。臨床研究/基礎研究との橋渡し研究を加速させるために、国内では国立がん研究センター/癌研有明病院/名古屋大学/横浜市立大学ほか、海外ではシンガポール大学、リーズ大学(英国)、マーストリヒト大学(オランダ)との共同研究を進めています。

【外科で行っている高度な専門的医療:主なもの(すべて臨床試験として行っています)】

名 称 研究組織 対 象
腹腔鏡下胃全摘術/噴門側胃切除術のPhase II試験 JCOG1401 Stage 1胃癌
患者要因ハイリスクを含む腹腔鏡下胃切除術の妥当性研究 当科 Stage 1-3胃癌
S-1補助化学療法8コースに対して4コースの生存における非劣性を検証するPhase III試験 JCOG1104 Stage 2胃癌
Stage 3胃がんに対するS-1/ドセタキセル療法の効果を検証するPhase III試験 JACCRO Stage 3胃癌
腹腔鏡下幽門側胃切除術技能評価スケール妥当性研究 北海道大学 胃癌
切除不能進行・再発胃癌に対するTAS-118/OxaliplatinとS-1/Cisplatinの多施設共同ランダム化Phase III試験 治験 切除不能進行・再発胃癌
高度リンパ節転移を有するHER2陽性胃がん/胃食道接合部腺がんに対する術前Trastuzumab併用化学療法の意義に関するランダム化Phase II試験 JCOG1301 Stage 3胃がん/胃食道接合部腺がん
高度腹水を伴うまたは経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌に対する5-FU/l-LV 療法vs. FLTAX(5-FU/l-LV+PTX)療法のランダム化第II/III 相比較試験 JCOG1108 Stage 4または再発胃がん
初回化学療法に不応のEGFR陽性Stage 4または再発胃がんに対するCPT-11単独療法に対するCPT-11/Nimotuzumab併用療法の生存における優越性を検証するPhase III試験 治験 Stage 4または再発胃がん
再発または転移性胃腺癌または食道胃接合部腺癌の患者を対象としたMK-3475の単独療法及びシスプラチンと5-フルオロウラシルの併用療法の第Ⅱ相試験(KEYNOTE-059) 治験 再発または転移性胃腺癌または食道胃接合部腺癌
早期胃癌・胃NETに対する完全鏡視下幽門保存胃切除術の有用性・安全性に関する研究 当科 早期胃癌・胃NET
胃切除後骨粗鬆症に対する経口ボナロンと経静脈投与ボナロンを比較するランダム化Phase II試験 KSATTS(当科主導) 胃切除後
転移性胃腺癌/食道胃接合部腺癌に対する1次治療としてのS-1+オキサリプラチン±ラムシルマブおよび二次治療としてのパクリタキセル/ラムシルマブ併用療法の第Ⅱ相試験 治験 転移性胃腺癌/食道胃接合部腺癌
消化管原発切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)を対象としたエトポシド/シスプラチン(EP)療法とイリノテカン/シスプラチン(IP)両方のランダム化比較試験 JCOG1213 消化管原発切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)
進行胃癌に対する大網温存のランダム化第Ⅱ相試験 横浜市立大学 進行胃癌
進行性胃腺癌または食道胃接合部腺癌患者を対象とした1次治療としてMK-3475の単独療法並びにMK-3475,シスプラチン、および5-フルオロウラシルの併用療法とプラセボ、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルの併用療法を比較する第Ⅲ相試験 治験 進行性胃腺癌または食道胃接合部腺癌
食道胃接合部腺癌に対する縦隔リンパ節及び大動脈周囲リンパ節の郭清効果を検討する介入研究 日本食道学会・日本胃癌学会 食道胃接合部腺癌
臨床的に確定診断が困難な胃癌腹膜播種転移疑い例に対するCTコロノグラフィイーの妥当性研究 当科 胃癌腹膜播種転移疑い例
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法に不応となった切除不能・再発胃癌を対象としたABI-007/Ramucirumab併用療法の第Ⅱ相試験 治験 切除不能・再発胃癌
腹膜播種に基づく腸管狭窄による経口摂取が不能進行再発胃癌例に対するsurgical interventionの意義 胃癌学会 進行再発胃癌
狭窄症を伴う初発治癒切除不能進行胃癌に対するsurgical interventionの意義 胃癌学会 初発治癒切除不能進行胃癌

【内科で行っている高度な専門的医療:主なもの(すべて臨床試験として行っています)】

名 称
切除不能進行・再発胃癌を対象としたS-1/シスプラチン併用(CS)療法とドセタキセル/シスプラチン/S-1併用(DCS)療法のランダム化第Ⅲ相試験:JCOG1013
高度腹水を伴うまたは経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌に対する5-FU/1-LV療法vs. FLTAX(5-FU/1-LV+PTX)療法のランダム化第Ⅱ/Ⅲ相比較試験:JCOG1108
未分化型早期胃がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術の適応拡大に関する第Ⅱ相試験:JCOG1010
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学治療に不応となった切除不能進行胃癌・再発胃癌患者を対象としたABI-007の3週ごと投与法とABI-007の毎週投与法と既存パクリタキセル製剤(タキソール注射液)の毎週投与法とのランダム化第Ⅲ相比較試験:治験
切除不能・再発胃癌患者を対象としたTS-1/ABI-007併用療法の臨床第Ⅰ相試験:治験
一時療法後に進行を認めた進行胃癌(胃食道接合部癌を含む)アジア人患者を対象とし、オラパリブ(AZD2281)とパクリタキセルの併用療法とプラセボとパクリタキセルの併用療法の有効性及び安全性を比較検討する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第Ⅲ相試験:治験

胃がんの治療成績

2005年1月から2009年12月の間に当科で切除した胃癌914症例の治療成績
 2005年1月から2009年12月の間に当科で切除した胃癌914症例の治療成績

2000年1月から2013年12月の間に手術を施行し、当科で治療を行った胃GIST 78例の治療成績
 2000年1月から2013年12月の間に手術を施行し、当科で治療を行った胃GIST 78例の治療成績

最新の周術期管理

 ヨーロッパでは標準的に行われている周術期管理であるEnhanced Recovery After Surgery (ERAS)プログラムをいち早く取り入れています。このプログラムは、絶食期間をできるだけ短縮する/徹底的な除痛管理/早期離床を柱とした周術期管理です。管理の難しい胃がんでも、この周術期管理が可能であることを報告してきました。胃がん術後では術式によらず約8日で退院できます。

紹介患者さんの流れ

 ご紹介頂いた患者さんは、消化器内科での精密検査を受けて頂きます。その後、キャンサーボードでのカンファランスにより、推奨治療方針が決定します。参加可能な臨床試験なども、ここで判断することになります。内視鏡的治療の対象となる症例は消化器内科で内視鏡治療(EMR:内視鏡的粘膜切除術、ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)が行われます。外科治療が必要な場合、腹腔鏡など外科的な精密検査が必要な場合には、外科で診療をさせて頂くことになります。

術後Followの地域連携パス

 胃がん手術を受けた結果、病理学的にStage 1であった場合には、手術だけでほぼ治癒が得られます。また、進行がんの治療後5年が経過すればほぼ治癒が得られます。しかしながら、胃切除による後遺症は永久的に続きます。地域の先生方と協力し、Stage 1術後の経過観察や胃切除後の後遺症を診ています。

その他

 術前の説明文書「胃癌治療についての説明」とクリニカルパスがご覧になれます(ご覧になりたい画像をクリックしてください。掲載している説明文書は最新版ではありません。最新版は受診時にご覧になれますので、お気軽にお申し付けください。)

胃癌同意説明文書
胃癌同意説明文書
PDFファイル(885KB)
胃癌治療についての説明
胃癌治療についての説明
PDFファイル(620KB)
クリニカルパス
クリニカルパス
PDFファイル(50KB)

※PDFファイルを御覧いただくには、アドビシステムズ社が無償配布しているAdobe Readerが必要です。
 アイコンをクリックすると、ダウンロードページが別ウィンドウで表示されますので、画面の指示に従いインストールしてください。get adobe reader

スタッフ紹介

診療医師名 認定資格
吉川 貴己院長補佐(兼)医療管理部長
(兼)消化器外科部長
 吉川 貴己
 横浜市立大学医学部
  平成元年卒
 横浜市立大学大学院
  平成7年修
日本外科学会
  外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会
  技術認定医
横浜市立大学大学院医学研究科
  客員教授
東京医科大学消化器/小児外科
  兼任教授
長 晴彦消化器外科医長
 長 晴彦
 横浜市立大学医学部
  平成6年卒
日本外科学会
  外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会
  技術認定医
日本静脈経腸栄養学会認定医
尾形 高士消化器外科医長
 尾形 高士
 東京医科大学
  平成7年卒
 東京医科大学大学院
  平成15年修
日本外科学会
  外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
  消化器がん外科治療認定医
日本消化器病学会
  消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医・指導医
日本食道学会
  食道科認定医・食道外科専門医
日本がん治療認定医機構
  がん治療認定医、暫定教育医
山田 貴允消化器外科医長
 山田 貴允
 横浜市立大学医学部
  平成14年卒
日本外科学会
 外科専門医
日本消化器外科学会
 消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会
 消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会
 技術認定医
日本消化器病学会
 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会
 消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構
 がん治療認定医
日本消化管学会
 胃腸科認定医
中島 哲史消化器外科医師
 中島 哲史
 東京医科大学
  平成20年卒
日本外科学会
  外科専門医
神尾 一樹消化器外科医師
 神尾 一樹
 名古屋市立大学医学部
  平成21年卒
日本外科学会
  外科専門医
前澤 幸男消化器外科医師
 前澤 幸男
 福井大学医学部
  平成21年卒
日本外科学会
  外科専門医
マンモグラフィ検診精度管理中央委員会
 検診マンモグラフィ読影認定医
池田 耕介消化器外科医師
 池田 耕介
 三重大学医学部
  平成15年卒
日本外科学会
  外科専門医
 
消化器内科部長
 本橋 修
 弘前大学医学部 昭和58年卒
 北里大学大学院 平成1年修
日本内科学会
  認定内科医
日本消化器病学会
  消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医・指導医
消化器内科医長
 中山 昇典
 北里大学医学部 平成8年卒
日本内科学会
  認定内科医
日本消化器病学会
  消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医
日本臨床腫瘍学会
  がん薬物療法専門医
消化器内科医長
 西村 賢
 北里大学医学部 平成10年卒
日本内科学会
  認定内科医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医
消化器内科医長
 井口 靖弘
 横浜市立大学医学部 平成11年卒
 横浜市立大学大学院 平成17年修
日本内科学会
  認定内科医
日本消化器病学会
  消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医・指導医
日本がん治療認定医機構
  がん治療認定医
消化器内科医長
 井上 俊太郎
 埼玉医科大学卒 平成19年卒
日本内科学会
  認定内科医
日本消化器病学会
  消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会
  消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構
  がん治療認定医
消化器内科医師
 芹沢 ありさ
 浜松医科大学 平成22年卒
日本内科学会
  認定内科医
消化器内科医師
 林 公博
 杏林大学 平成23年卒
 
消化器内科医師
 三留 典子
 信州大学 平成23年卒
日本内科学会
  認定内科医

(更新日:2016.6.1)

  • 節電のご協力ありがとうございました
  • No Smoking
  • がんセンター外観