診療科・各部門のご案内
遺伝診療科

遺伝カウンセリング外来のご案内

 当センターでは『遺伝カウンセリング外来』を開設しています。
 様々な疾患は、環境因子と遺伝因子が作用して発症すると考えられています。がんも環境因子と遺伝因子が組み合わさって発症しますが、全体の5~10%は遺伝因子が主要因となって発症すると考えられています。このうち、いくつかの遺伝性のがんは遺伝学的検査で診断することができるようになりました(*)。遺伝性と分かることで、ご本人の治療法の決定に役立つ場合があるほか、ご家族の健康管理にも役立てることができます。
 当院では、遺伝性のがんについて詳しい説明を希望される方には「遺伝カウンセリング外来」の受診をお勧めしています。
 遺伝カウンセリング外来は、医師、遺伝カウンセラー、看護師が担当しています。患者さんご自身が「遺伝する病気」についてどのように理解され、どのような思いをお持ちでいらっしゃるかをうかがいながら、遺伝とはどのようなものなのかということを、その様式や特徴をふまえながらご説明いたします。
 また、遺伝カウンセリング外来を受診したからといって遺伝学的検査を必ず受けなければいけないというわけではありません。遺伝学的検査を受けるか受けないか、どのような対策を選ぶとよいかなどは、患者さんひとりひとりによって答えも異なり、いずれの選択も尊重されます。
 情報をわかりやすく提供し、患者さんご自身の考えを伺いながら、みなさまにとって一番よい選択肢を一緒に考えていけるようにいたします。

*:遺伝カウンセリング外来で行っている検査は、がん細胞の遺伝子を調べて適した治療薬を選択するための検査ではありません。

 当センターで遺伝学的検査を行っている遺伝性(家族性)腫瘍

実施日

 毎月第1水曜日、第3木曜日

 初診:13:00~、14:20~、15:40~
 再診:10:30~、11:00~、11:30~

対象

 遺伝性(家族性)腫瘍が疑われる方。

費用

 遺伝カウンセリング外来初診時に12,000円。
 遺伝学的検査は疾患により費用が異なりますので、受診時にご説明いたします。

スタッフ

 医師、遺伝カウンセラー、看護師

受診方法

ご自身ががんを発症されている方

当センターを受診されている場合

 主治医へ遺伝カウンセリング外来受診の希望をお伝えください。主治医が予約をお取りします。事前に遺伝カウンセラーが面談を行う場合があります。

当センターをはじめて受診される場合

 遺伝カウンセリング外来の予約は現在おかかりの医療機関からの申し込みFAXで承ります。お申し込みいただいてから、予約日をお知らせするまでの流れは、下記のとおりです。申し込みは、以下の予約申請書をダウンロードして、プリントアウトしてお使いください。診療情報提供書(紹介状)も一緒にFAXをお願いいたします。

 受付窓口:患者支援センター 遺伝カウンセリング外来受付
        FAX : 045-520-2215(直通)
 受付時間:月から金 午前8時30分から17時15分

当センターをはじめて受診される場合
遺伝カウンセリング外来の申込書と診療情報提供書を紹介医療機関から神奈川県立がんセンター患者支援センターへFAXしてください。
矢印
患者支援センターで文書を受付いたします。
矢印
遺伝診療科より、受診日と受診前のご案内を直接患者さんへご連絡いたします。

必要なもの

  • 申し込み時(当センターをはじめて受診される方のみ)
    かかりつけの主治医の先生からの診療情報提供書(紹介状)
  • 受診当日
    ご家族のがんに関する情報
     初回外来受診時までに、ご家族やご親戚でがんにかかられた方の詳しい情報を可能な範囲でご確認ください(父方/母方の、祖父母、両親、おじ、おば、いとこ、兄弟姉妹、甥、姪、子供など)。「どの臓器のがん」なのかについて、「誰が」、「何歳くらい」で発症されたか、また、乳がんは「片側のみか両側乳房の乳がんか」をご確認ください。
     予約申請書と一緒にダウンロードされる家族歴問診票もご利用ください。

ご家族がすでに遺伝性(家族性)腫瘍の診断がついている方
   ご自身は癌を発症していない方で当外来を受診希望の方

 まずは遺伝カウンセラーがお電話にてお話を伺います。神奈川県立がんセンター代表へお電話いただき、遺伝カウンセラーまでお問い合わせください。

 (代表電話 045-520-2222、火曜日14:00~17:00)


その他注意事項

  • 遺伝カウンセリング外来を受診されたこと及び内容については主治医の先生に文書でお知らせいたします。
  • 当外来は外来対応のみです。がんセンターへの入院希望や、転院して原疾患の治療を受けたいといった希望があったとしても、対応することができません(遺伝性乳がん卵巣がん症候群に対するリスク低減手術は当院で施行しておりますのでご相談ください)。
  • 当外来で行っている検査は、がん細胞の遺伝子を調べて適した治療薬を選択するための検査(がんゲノム医療に伴う検査)ではありません。

疾患の説明

【遺伝性乳がん卵巣がん症候群】
 2013年にアンジェリーナ・ジョリーさんが公表したことで多くの方に知られるようになりました。英語表記の頭文字からHBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer)と呼ばれます。乳がんと卵巣がんのほかに前立腺がんや膵がんにも関係していることが分かっています。これらのがんが家系内に多い場合や家系内にそれらのがんの方がいなくてもご本人が若い年齢(40歳以下)で乳がんを発症された場合やご本人が上皮性卵巣がん、卵管がん、腹膜がんなどの場合は遺伝カウンセリングをお勧めしています。
国立がん研究センターがん情報サービス:遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
【リンチ症候群】
 この疾患名はアメリカ人医師の名前からつけられました。以前は遺伝性非ポリポーシス大腸がんと呼ばれていましたが、大腸がん以外のがんも発症するため最近ではリンチ症候群と呼ばれます。大腸がん、子宮体がん、卵巣がん、胃がんなど様々な種類のがんを発症する可能性があります。繰り返し大腸がんを発症したり、1人の方が数種類のがんを発症したりすることもあるため早期発見のために定期検査が必要です。
国立がん研究センターがん情報サービス:遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
【家族性大腸腺腫症】
 「腺腫」とは大腸ポリープの種類の1つです。腺腫自体は良性ですが、放置しておくとがん化する可能性があります。腺腫がたくさんあるほどその中のどれかががんになる可能性は高くなります。家族性大腸腺腫症は大腸に腺腫がたくさんできる疾患です。何も治療を受けない場合は60歳ころまでにほぼ100%大腸がんを発症すると言われています。また、大腸の他に胃や十二指腸などにも腺腫ができるため、経過観察が必要です。
国立がん研究センターがん情報サービス:遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
【多発性内分泌腫瘍症1型】
 英語表記の頭文字からMEN1(multiple endocrine neoplasia type1)と呼ばれます。原発性副甲状腺機能亢進症、下垂体腺腫、膵・消化管神経内分泌腫瘍などを発症します。これらが原因でホルモンの分泌が過剰となり、尿路結石、胃十二指腸潰瘍、低血糖、無月経、乳汁分泌、頭痛などを起こします。一部の神経内分泌腫瘍は悪性の場合があるため注意が必要です。原発性副甲状腺機能亢進症、下垂体腺腫、膵・消化管神経内分泌腫瘍はMEN1ではなくても発症しますが、1人の方がこの中の複数の症状を有している場合やご家族に同じ症状の方が複数いる場合はMEN1の可能性があります。
MEN-Net org:MEN(多発性内分泌腫瘍症)について
【多発性内分泌腫瘍症2型】
 英語表記の頭文字からMEN2(multiple endocrine neoplasia type2)と呼ばれます。ほぼ全ての方が甲状腺に髄様がんという種類のがんを発症します。また、褐色細胞腫という腫瘍ができることや副甲状腺機能亢進症が現れることもあります。褐色細胞腫のほとんどは良性ですが、褐色細胞腫からホルモンが分泌されることで高血圧になることがあります。普段は異常がなくても手術を受ける際には管理が必要です。副甲状腺機能亢進症では副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで尿路結石や胃十二指腸潰瘍を起こす場合があります。甲状腺髄様がん、褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症はMEN2でなくても発症しますが、1人の方がこの中の複数の症状を有している場合やご家族に甲状腺髄様がんの方が複数いる場合はMEN2の可能性があります。
MEN-Net org:MEN(多発性内分泌腫瘍症)について
【リ・フラウメニ症候群】
 この疾患名はLiとFraumeniという2人の医師の名前からつけられました。この疾患は小児期から様々ながんを発症する可能性があります。特に関係していると言われているのが、軟部肉腫、骨肉腫、閉経前乳がん、副腎皮質がん、脳腫瘍ですが、その他のがんを発症することもあります。一般的ながんの発症年齢よりも若い年齢で発症することが特徴の1つです。1人の方が複数のがんを発症することもあります。また、放射線被爆によりがんを発症する可能性が高くなると言われており、放射線を使用した検査や治療は慎重に行う必要があります。
国立がん研究センターがん情報サービス:遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
【カウデン症候群】
 この疾患名も人名からつけられました。全消化管に「過誤腫」という種類の良性ポリープが多くできます。また、食道にできるポリープ状の病変が特徴的で診断の参考になります。皮膚や口腔内にも同様の病変ができます。これらは良性ですが、乳房、甲状腺、子宮内膜、大腸、腎臓などはがんを発症する可能性があるため注意していく必要があります。

 

スタッフ紹介


診療医師名 認定資格
遺伝診療科部長
 成松 宏人
 名古屋大学医学部 平成11年卒
 名古屋大学大学院 平成20年修
臨床遺伝専門医・指導責任医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
日本血液学会血液専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
遺伝診療科
 羽田 恵梨
認定遺伝カウンセラー
北里大学大学院修士課程遺伝カウンセリング養成プログラム 平成23年修了
遺伝診療科
 佐藤 杏
看護師
北里大学大学院修士課程遺伝カウンセリング養成プログラム 平成30年修了

(更新日:2018.6.25)

遺伝カウンセリングチーム

 当院の遺伝カウンセリングは遺伝診療科を中心に院内各診療科および臨床研究所、神奈川県立こども医療センターから関係するスタッフがチームを作り実施しています。

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