診療科・各部門のご案内
婦人科

診療のご案内

外来:月から金曜日午前中。新患受付は11時30分まで(午後の診療はありません)

診療疾患:婦人科悪性腫瘍および前がん状態、およびその疑いのあるもの

  • がん検診、良性疾患および良性腫瘍の治療は行っておりません。
  • 必ず受診日を予約の上、紹介状をお持ち下さい。

注意事項:組織検査を行った時は、翌朝に再診がある場合があります。また、必ずナプキンを持参して下さい。

スタッフ紹介

診療医師名 認定資格
加藤 久盛婦人科部長
 加藤 久盛
 日本医科大学
  昭和57年卒
 日本医科大学大学院
  昭和61年修
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
小野瀬 亮婦人科医長
 小野瀬 亮
 秋田大学医学部
  昭和59年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
近内 勝幸婦人科医長
 近内 勝幸
 自治医科大学
  平成6年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
川野 藍子婦人科医長
 川野 藍子
 宮崎大学医学部
  平成19年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
池田 真利子婦人科医師
 池田 真利子
 日本医科大学
  平成22年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
井浦 文香婦人科医師
 井浦 文香
 東京女子医科大学医学部
  平成12年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
今井 一章婦人科医師
 今井 一章
 聖マリアンナ医科大学
  平成19年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
上西園 幸子婦人科医師
 上西園 幸子
 香川大学
  平成21年卒
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

(更新日:2016.4.1)

婦人科の悪性腫瘍について

女性の骨盤内臓器のあらまし

子宮頚部異形成

 子宮頚癌になる前段階の状態です。子宮頚癌は子宮頚部の正常細胞から、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成を経て、上皮内癌(子宮頚癌0期)、さらには進行癌へと進んでいくと考えられています。しかし、異形成全部が癌になるわけでは有りません。当院のデータによれば自然経過観察だけで、軽度異形成、中等度異形成の75%が軽快していますが、一方で進行し癌になる場合もあります。
 現在、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV:Human Papilloma Virus)の持続感染が引き金となって子宮頚部異形成・子宮頚癌が生ずることがわかっています。HPVは100種類以上のタイプが有ることが知られていますがその中でも高リスク型HPVに感染していると子宮頚癌になりやすいとされています。軽い子宮頚癌前がん病変が疑われる場合、HPV-DNA検査を行い、子宮頚癌になりやすいのか検査することができます。

  • 子宮頚部軽度・中等度異形成の管理方針
     この病変では、進行しない人も多いので、経過観察が基本となります。最初の異形成の診断を必ず狙い組織診で確認したあと、3~6ヶ月毎に外来フォローアップします。頚部細胞診、コルポスコープ診を基本とし頚部組織診は適時追加します。高度異形成以上に増悪したり、2年以上の長期にわたり中等度異形成が存続した場合には子宮温存療法を含めた治療をお勧めしています。
  • 子宮頚部高度異形成の管理方針
     この病変では、ゆっくりですが進行する場合が多いので、以下の初期子宮頚癌に準じた治療を行います。

初期子宮頚癌

 一般に子宮頚癌0期,1a1期を初期子宮頚癌といいます。そして前がん状態でも高度異形成は初期子宮頚癌と同様に治療対象としているのが一般的です。ここで簡単に子宮頚癌について説明します。子宮頚部にできる癌を「子宮頚癌」と呼び、子宮癌の半数以上を占めます。主に扁平上皮癌(子宮頚部の下半分の表面を覆う扁平上皮から発生する)と腺癌(粘液を分泌する頚管の腺組織から発生する)の二種類あり、扁平上皮癌が85%を占めています。患者さんの平均年齢は46歳程度(0期では40歳程度)ですが、年々若い患者さんが増えてきました。
 子宮頚癌の発生にはある種のヒトパピローマウイルス(腟や子宮頚部に「イボ」を発生させるウイルス=HPV)の感染が関与していると言われており、性交渉によりその感染機会が増したために、発生年齢が低下しています。近年では、女性の70%は一生の内に感染機会があり、若年女性の20%以上がヒトパピローマウイルスを保有していると言われており、非常にありふれた感染であることが分かってきました。ですから、感染イコール発がんと短絡的に考えないことが大切です。
 初期段階のがんや前がん状態の方では無自覚・無症状がほとんどです。検診の目標である早期発見早期治療の効果が大いに上がっている癌の代表ですので、是非とも検診を受けて下さい。頚癌の前段階である「異形成」で発見されることも多く、また0期やⅠa期などの初期癌であれば、100%治癒も可能です。ただし腺癌では早期発見の難しい例もあります。
 しかし、初期癌を超えてしまうと、子宮の摘出にリンパ腺の摘出や靭帯の広範囲な摘出を加えるたり、放射線治療や抗癌剤治療が主体になることがありますので、是非早期発見・早期治療を心掛けたいものです。

  • 治療法
     子宮を摘出する手術が基本ですが、閉経前の方の0期やIa1期の初期癌では、子宮頚部の一部のみを切り取る子宮頚部円錐切除術が可能です。子宮本体が温存されますので、治療後に妊娠・出産が可能です。

進行子宮頚癌

 子宮の入り口を子宮頚部といい、ここにできる癌が子宮頚癌(以下頚癌)です。組織の表面から3mm以上深く入っているような癌(=Ia2期以上)では、転移の可能性が出てきますので、前述の初期子宮頚癌とは異なった治療が必要となります。
 症状は性器出血が多く、月経以外に出血があったり、月経が長引いたり量が増えることがあります。また、おりものが増えたり、腹痛を生じたりすることがあります。

  • 治療法
     頚癌治療の基本は手術または放射線療法です。癌の進行期、患者様の全身状態で治療が選択されます。
     手術は基本的には広汎子宮全摘術という、子宮・子宮の回りの靭帯・腟の一部・骨盤のリンパ節を摘出する手術がおこなわれます。さらに、開腹所見や病理検査の結果、追加治療が必要な方には手術後に放射線治療あるいは全身化学療法(抗癌剤)を追加することがあります。
     最初から放射線治療を施行する場合もあります。放射線治療は、放射線腫瘍科医師との共同診療となります。外部照射(全骨盤照射)と腔内照射の組み合わせで治療し、治療終了まで約6週間かかります。放射線の効果を高めるため抗がん剤を併用することがあります。

子宮内膜増殖症

 子宮内膜増殖症とは子宮内膜の過剰増殖状態(厚くなりすぎた状態)と定義されています。臨床的には不妊を伴ったり、不正性器出血、月経不順を伴いやすいといわれています。異型を伴わない単なる子宮内膜増殖症は子宮体癌にまで増悪することはまれですが、異型を伴う子宮内膜増殖症となると20%程度の人が子宮体癌になるというデータがあります。したがって不正性器出血があったら、子宮内膜細胞診、子宮内膜組織診を施行し子宮内膜増殖症以上の病変があるのか否かを確認する必要があります。

  • 子宮内膜増殖症の管理方針
     最初の診断は必ず内膜組織診で確認します。
    1. 異型のない増殖症は6ヶ月ごとに外来フォローアップします。無排卵例には黄体期にあわせて黄体ホルモン投与します。
    2. 異型内膜増殖症は麻酔下のもとで内膜全面そうはを行い、子宮体癌が混在していないか精密検査します。閉経前の方には高用量黄体ホルモン剤を6 ヶ月間服薬します。これでも無効の場合は単純子宮全摘術をすすめます。閉経後は単純子宮全摘術をすすめます。

子宮体癌

 子宮頚部よりさらに奥の部分を子宮体部といい、ここにできる癌が子宮体癌(以下体癌)です。子宮体部の内面を覆う子宮内膜から発生します。体癌は日本人の生活が欧米化することによって増加してきた癌の1つとして、乳癌や大腸癌の増加と同様に問題となっています。体癌発生のリスク因子として、生理不順、妊娠・出産経験がない、肥満、女性ホルモン剤の使用などがあげられます。卵胞ホルモンという女性ホルモンが、発生に大きく関わっていることも知られています。
 体癌が発生しやすいのは閉経以後の婦人で、平均年齢は50歳台後半です。9割以上の方に生理とは異なる出血がみられます。下腹部の痛みなどの症状のある場合もあります。

  • 治療法
     体癌治療の基本は手術で、子宮だけでなく、卵巣・卵管も摘出します。状況に応じてリンパ腺も一緒に切除する手術が行われます。Ⅱ期までであれば、8~9割は完全治癒が期待できます。卵巣は転移を起こしやすい臓器であるとともに、転移した癌が体内に残っていた場合に卵巣から分泌される卵胞ホルモンが癌の進行を促進する可能性があるため、両方の卵巣を摘出することが一般的です。さらに、開腹所見や病理検査の結果、追加治療が必要な方には手術後に全身化学療法を追加することがあります。
     当院では、過去に治療した患者さんのデータを参考として、手術の個別化を行っています。すなわち、初期の癌が疑われる患者さんには手術合併症を極力抑えるために、縮小手術を選択し、少し進行が予想される患者さんには段階的にリンパ節廓清を加えるようにしています。癌の大きさや深度により最適の手術を決定しますので、最終的に開腹所見で術式を決定します。なお、高齢の患者さんや合併症のある患者さんでは、無理ができませんので、術式は総合的に判断するようにしています。

卵巣癌

 卵巣は、子宮の両脇に存在する一対の小さな臓器です。妊娠に必要な卵子の形成や、女性ホルモンを分泌する働きがあります。卵巣癌は40~50歳に比較的多く見られますが、他の婦人科癌と異なり、10歳台の小児から高齢者まで幅広く見られ、癌の種類も多種にわたることが特長です。また、良性と悪性の中間的な態度を示す「境界悪性」と呼ばれるグループもあります。
 卵巣腫瘍は手術で摘出することにより、良性の卵巣腫瘍か悪性の卵巣腫瘍(卵巣癌)かの正確な診断を下しますので、手術前は断定することができません。従って、卵巣癌であることを前提として手術の準備を行います。もちろん、良性の場合は手術のみで治療は終了します。
 自覚症状に乏しく、かなり進行するまで元気に見えるのが、この癌の特徴です。したがって、III期以上の進行癌が半数以上を占めるのが現状です。若干の症状を自覚しても、"太ったのかな?"と思って放置されるケースが多く見られます。自覚症状としては、下腹部の痛み・お腹が腫れる感じ・呼吸が苦しい(胸水の貯留)などがあります。

  • 治療法
    1. 悪性腫瘍(がん)の場合
       卵巣悪性腫瘍の治療の基本は、手術で腫瘍を可能な限り摘出することにあります。手術後は抗がん剤を用いた化学療法を施行し、残存腫瘍や腫瘍細胞の完全消滅をはかります。術後の化学療法は、残存腫瘍径が小さいほど効果があるとされています。
       初回手術では、その所見から、進行期を確実にする必要があります。術式としては子宮摘出術+両側卵巣の摘出術+大網(大腸に付着する脂肪の膜)切除術を基本とします。早期の腫瘍で、若年者や妊娠を希望される若い女性の場合、局所に留まるIa期で比較的たちの良いタイプなどの条件を満たせば反対側の卵巣・子宮を残せることがありますが、ほとんどの場合手術の後で抗癌剤を必要とします。
       腫瘍がすでに進行しており、癒着などがひどくて摘出が困難な場合は、腫瘍の一部だけを摘出し、手術後の化学療法の効果を期待する方法もあります。化学療法を何回か施行した後に、二次的腫瘍摘出術を施行します。
       卵巣悪性腫瘍は抗がん剤がよく効くがんのひとつとされており、極く早期のがんをのぞけば化学療法は必要です。化学療法は一般的に、2~3種類の抗がん剤を組み合わせて周期的に投与します。患者さんの状態により使用薬剤・投与方法・投与量などを個々に決定するのが実際です。副作用は骨髄抑制による赤血球・白血球・血小板などの減少、腎機能低下、肝機能低下、脱毛、吐き気、下痢、関節痛、筋肉痛など多種多様ですが、症状に応じた対処が可能なものもあります。
    2. 境界悪性腫瘍の場合
       境界悪性腫瘍とは良性と悪性の中間的な性格を示すもので、組織診断にて確定します。予後は悪性腫瘍に比べて良好で、多くの場合、手術のみで完治が可能です。

治療実績(平成25年)

 初回治療例のみで、婦人科悪性腫瘍252例、前がん状態97例でした。

治療例の内訳

 子宮頚癌133例

  • 0期43例=上皮内癌(当院での5年生存率100%)
  • Ia期6例=子宮頚部に限局した初期癌(当院での5年生存率100%)
  • Ib期29例=子宮頚部に限局した浸潤癌(当院での5年生存率88.6%)
  • II期16例=子宮外進展を始めた癌(当院での5年生存率74.4%)
  • III期27例=骨盤壁に達した癌(当院での5年生存率56.1%)
  • IV期12例=遠隔転移した癌(当院での5年生存率25.6%)

 子宮体癌75例

  • 0期3例=異型内膜増殖症
  • I期59例=子宮体部に限局した癌(当院での5年生存率97.4%)
  • II期1例=子宮頚部に及んだ癌(当院での5年生存率96.1%)
  • III期7例=骨盤内に広がった癌(当院での5年生存率66.7%)
  • IV期2例=遠隔転移した癌(当院での5年生存率19.2%)
  • 肉腫3例

 卵巣癌38例

  • 境界悪性5例
  • I期8例=卵巣に限局した癌(当院での5年生存率88.2%)
  • II期8例=骨盤内に広がった癌(当院での5年生存率100%)
  • III期12例=腹腔内に広がった癌(当院での5年生存率40.0%)
  • IV期5例=遠隔転移した癌(当院での5年生存率36.0%)
  • 膣癌2例
  • 外陰癌1例
  • 卵管癌0例
  • その他の悪性腫瘍3例

  • 節電のご協力ありがとうございました
  • No Smoking
  • がんセンター外観